2015年10月27日 公開

リハビリは「やる気」が重要、脳科学的に証明―サル実験で

生理学研究所など

 脳卒中や脊髄損傷の回復のために行われているリハビリテーション(リハビリ)は、患者のやる気(モチベーション)が高いほど回復効果も高いことが、医療の現場では知られているという。生理学研究所(愛知県岡崎市)の西村幸男准教授らの研究グループは、サルを使った実験から、脳の中でやる気や頑張りに関わる「側坐核(そくざかく)」という領域が、運動機能に関係する「大脳皮質運動野」の活動を活性化して、運動機能の回復を支えることを明らかにした。詳細は、米科学誌「サイエンス」(2015; 350: 98-101)に掲載されている。

早期のリハビリに影響

 後遺症が重くても軽くても、回復するためにはリハビリを継続して行う必要がある。しかし、脳卒中や脊髄損傷後にうつ症状になるとリハビリで頑張れなくなり、回復を妨げることが知られている。こうした関係は医療の現場では経験的に知られていたが、科学的には解明されていなかった。

 西村准教授らは、健康なサルの側坐核を薬で一時的に働かない状態にし、その状態でも手を動かす動作には全く影響が見られないことを確認。その後、サルの脊髄を損傷させて手の運動機能が回復していく過程を観察した。

 脊髄損傷から約1カ月が経過したころ、サルの手の機能は順調に回復を始めていた。ところが、このサルの側坐核を薬で働かない状態にしたところ、いったん治り始めていた手の運動が障害され、大脳皮質運動野の神経活動も低下した。

 サルの手の機能が完全に回復した後(脊髄損傷から約3カ月後)に側坐核の働きを止めても、手の運動への影響はなかったという。つまり、障害を負ってから早いうちに側坐核の働きを活発にすれば、リハビリによる運動機能の回復を効果的に進められることになる。

 西村准教授は「リハビリでは運動機能を回復させることばかりでなく、"やる気や頑張り"を支える側坐核の働きが大切なことが分かった。脳科学や心理学などに基づく心理的サポートが重要」と話している。

(あなたの健康百科編集部)

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