2015年10月30日 公開

ドライマウスに悩む人に光、根本的治療法を発見か―徳島大

低出力パルス超音波による治療

 口の中が乾燥するドライマウス(口腔=こうくう=乾燥症)。症状の軽重はあれ、この病気に悩まされている人は、推定で800万人近くとも3,000万人ともいわれている(ドライマウス研究会より)。これまで対症療法しかなかったが、徳島大学大学院医歯薬学研究部の学生、佐藤南さん(口腔顎顔面矯正学)らは、低出力パルス超音波(LIPUS)がドライマウスを改善する可能性があることを突き止め、10月7日発行の英医学誌「Arthritis Research & Therapy」(電子版)に報告した。ドライマウスの根本的な治療法になるかもしれないという。

ドライマウスとは?

 ドライマウスは、唾液の分泌が減ることで口の中が乾燥する病気。その原因は、加齢やストレス、喫煙などの生活習慣や薬によるものが挙げられるが、シェーグレン症候群など自己免疫疾患によるものも少なくない。

 唾液の分泌が減ることで、口の中のねばつきや乾燥感があるほか、虫歯や歯周病、口内炎などの原因になることもある。重症の場合は、嚥下(えんげ=ものをのみ込むこと)障害や構音(発音を調整すること)障害などを引き起こすこともある。

 命に関わることはほぼないものの、自覚的な症状は非常につらい。現時点では唾液の分泌を促す根本的な治療法はなく、人工唾液や口腔内軟膏、トローチなどの対症療法が中心となっている。

細胞の炎症が改善、唾液量が増加

 低出力パルス超音波(LIPUS)は、微弱な超音波を断続的に照射できる機器。骨折の治療に多く用いられており、主に超音波による熱以外の刺激を繰り返すことで骨の癒合を促すとされている。この仕組みは、さまざまな基礎研究により、口の中のような軟部組織の炎症を抑える効果もあることが分かりつつあるという。

 佐藤さんらは、こうしたLIPUSの効果に着目。人間の唾液腺の細胞(腺房細胞と導管細胞)を培養し、体の中の炎症を引き起こす「TNFα」を加えるものと、そうでないものに分けた。さらに、LIPUSを照射するグループとそうでないグループに分け、細胞の数や唾液の量を比較した。

 その結果、TNFα加えることで著しく細胞数と唾液分泌量が減ったが、LIPUSを照射したグループではそれが回復していた。また、LIPUS照射グループでは、正常な唾液の分泌に必要な「アクアポリン5(AQP5)」という物質の発現量が増えていたという。

 さらに、シェーグレン症候群の症状に似た自己免疫性唾液腺炎を発症させたマウスにLIPUSを照射したところ、唾液腺の炎症が改善し、唾液の量とAQP5の発現が増加した。

 この研究の進展により、ドライマウスの根本的な治療に道が開ける可能性がある。佐藤さんは「今後、患者への臨床応用へと進めていくためには、唾液腺分泌機能に対するLIPUS照射の奏効率や奏効期間を検討する必要があることから、現在、2週間照射後の効果持続期間を検索中です」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)

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