2015年11月10日 公開

「ガセリ菌」がインフルワクチンの効果高める可能性

雪印メグミルクと北海道情報大・北大の共同研究

 乳製品メーカー各社は近年、プロバイオティクスの考え方に基づき、効果のある微生物(善玉菌)を開発することに熱心に取り組んでいる。その一つである雪印メグミルクは、北海道情報大学や北海道大学との共同研究から、同社が保有する乳酸菌「ガセリ菌SP株」(ラクトバチルス・ガセリSBT2055株)を飲むとインフルエンザワクチンの効果が高まること、またマウスを使った実験からそのメカニズムを解明したことを報告した。この研究結果は、10月15~16日に東京都内で開催された日本食品免疫学会の会合でも発表された。

プロバイオティクスとは

 プロバイオティクスについて、日本プロバイオティクス学会は「消化管内の細菌叢(そう)を改善し、宿主に有益な作用をもたらしうる有用な微生物と、それらの増殖促進物質」のことを指すと説明している。乳酸菌がその代表格だ。

 人間の腸の中には数百種類、数にして100兆個以上もの微生物(腸内細菌)が暮らしている。これらの菌は一定のバランスを保ちながら種類ごとに集まって腸の壁に張り付いており、「腸内細菌叢」と呼ばれている。

 腸内細菌叢は個人差が非常に大きく、食事や年齢などによって変動する。腸内細菌が生み出す腐敗物質や毒素などが増えると、腸自体を傷つけて下痢や便秘、大腸がんの原因になるとされている。

 さらに、それらの有毒物質の一部は体の中に吸収され、発がん・老化・免疫力の低下などの悪影響を及ぼすといわれている。プロバイオティクスを摂取すると、これらの腸内細菌叢の中でも善玉菌が増え、体調の維持に良い影響を及ぼす可能性が高い。

1日1本16週間で"抗体価"上昇

 北海道情報大学との共同研究では、健康な男女200人に、1日1本(100グラム)のヨーグルトドリンクを16週間にわたって飲んでもらった。ヨーグルトドリンクは、一方のグループはガセリ菌SP株入り、もう一方はガセリ菌SP株が含まれていないものを渡した。

 ヨーグルトドリンクを飲み始めてから4週間後にインフルエンザワクチン(A型H1N1、A型H3N2、B型)を接種し、接種前、接種時、7週間後、11週間後、16週間後にワクチンの効果を示す「抗体価」を測定。さらに、免疫力を表すNK細胞活性や唾液中のIgAの量も測った。

 その結果、ガセリ菌SP株が含まれているヨーグルトドリンクを飲んだグループで、ワクチン接種後に抗体価が高まっていた。また、NK細胞活性や唾液中のIgA量も増えていた。

マウス実験で免疫の向上を確認

 北海道大学との共同研究では、マウスを使った実験で、ガセリ菌SP株がインフルエンザを予防するメカニズムを説き明かした。ガセリ菌SP株を摂取したマウスの腸や肺の組織を調べたところ、ウイルスやがん細胞など異物の侵入に反応して分泌される「インターフェロンβ(ベータ)」などが増えていることが判明。また、このマウスの血液(血清)がウイルスの増殖を抑えることも示されたという。

 今回の2研究により、ガセリ菌SP株を飲むと腸で免疫応答反応が引き起こされ、肺でウイルス感染を予防する可能性が示された。

 ただし、今回の結果はあくまでも学会発表に基づくもので、現時点ではガセリ菌SP株の効果を保証するものではないことに留意する必要がある。今後、これらの研究がさらに進み、症例を重ねることによって結果が論文化され、プロバイオティクスの効果が実際に応用されるようになることを強く期待する。

(あなたの健康百科編集部)

関連リンク(外部サイト)