2015年12月17日 公開

抗がん剤による抜け毛抑える装置、米国で承認

頭皮を冷却する「ディグニキャップ」

 抗がん剤による抜け毛は、特に女性患者にとってつらい副作用の一つだろう。こうした中、米食品医薬品局(FDA)は12月8日、抗がん剤の治療を受ける乳がん患者の脱毛症を予防するため、米医療機器メーカー「ディグニターナ(Dignitana)」が開発した頭部冷却装置「ディグニキャップ(DingniCap)」を承認した。頭皮を冷やすことで血管を収縮させ、毛母細胞に届く抗がん剤の量を減らし、抜け毛を防ぐという。

66%の患者が「脱毛が半分程度」

 抗がん剤による脱毛は投与を始めて2~3週間後に多く起こり、髪の毛だけでなく眉毛や体毛などにも見られる。また、脱毛を起こしやすい抗がん剤には「エンドキサン」「アドリアシン」「タキソール」「タキソテール」など、乳がんの治療に使われるものが多く含まれている。

 国立がん研究センターアピアランス支援センターの野澤桂子センター長らによる調査では、乳がんの女性患者が苦痛と感じる治療関連症状の1位は「脱毛」で、2位の「手術による乳房切除」を上回る結果が示されている。治療が終われば3~6カ月後に再び生えてくるとされるものの、特に女性患者では、分かっていても脱毛に大きなショックを受ける人が多いようだ。

 多くの患者が帽子やバンダナ、かつらなどで対処しているが、今回FDAが承認したのは、抗がん剤による脱毛そのものを減らす装置。コンピューターに制御されたヘッドギア内部の冷却液が、頭皮を冷却するというものだ。

 理論的には、頭皮の冷やすことで血管を収縮させ、毛母細胞に届く抗がん剤の量を減らすことで効果を発揮すると考えられている。また、頭皮の冷却は毛母細胞の分裂も減らすため、これによって抗がん剤の影響を弱まることが期待されているようだ。

 ディグニターナ社が行った治験では、ステージⅠ、Ⅱの乳がんで抗がん剤を投与している女性患者122人が「ディグニキャップ」を使ったところ、66%以上が自己評価で脱毛が半分程度にとどまったと判定した。なお、今回の治験では多くが脱毛の頻度が高い「タキソール」や「タキソテール」のタキサン系を投与されていたという。同社は、米国外ではこちらも脱毛率が高い「アドリアシン」を投与されている患者でも調査中としている。

効果ない抗がん剤もあり

 副作用は、頭皮の冷却による頭痛、ヘッドギアを長時間着けていることによる首・肩の不快感、冷感、痛みなど。また、一部の抗がん剤の組み合わせ(レジメン)には効果がないため同社は、この装置を使用する際には医師に相談するよう求めている。

 FDAは、がん患者の脱毛予防は大きな利点になる一方、頭皮の冷却は抗がん剤治療の効果への影響が非常に少ないと判断した、と説明している。

(あなたの健康百科編集部)

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