2015年12月17日 公開

ガッテン流ノロウイルス撃退法! 決め手は「渋柿」

12月9日放送NHK「ためしてガッテン」より

 感染力が非常に強く、激しい嘔吐(おうと)と絶え間ない下痢を起こすノロウイルス。今年も流行の兆しを見せているが、ワクチンや治療薬がない現状では、手洗いやマスクで予防を心がけ、感染したらひたすら耐えるしかない。ところが、12月9日放送のNHK情報番組「ためしてガッテン」で、渋柿を使った予防法が紹介された。

進化し続けるノロウイルス

 ノロウイルスの感染力はインフルエンザウイルスの1,000倍といわれ、感染者はこの20年で100倍以上に急増しているという。しかも、世界中で毎年20万人の子供が命を落としているという調査結果もある。さらに今年は、昨年3月に神奈川県の川崎市健康安全研究所で発見された新型ノロウイルス(「GⅡ・P17-GⅡ・17」、従来型は「GⅡ・4」)が世界中で爆発的に流行し、何億人もの感染者が出る可能性が指摘されている。

 そもそも、ノロウイルスはどんな仕組みで人間に感染するのか? まず、口から入ったノロウイルスは小腸に入り込み、粘膜の壁を破って侵入。わずか8時間で数十万倍に増殖し、小腸の壁を破壊する。そのため、小腸が食べ物を消化・吸収できなくなって激しい嘔吐や下痢を起こすのだ。破壊し尽くした後、ノロウイルスは増殖をストップして体の外に排泄(せつ)される。

 初めて感染が確認されたのは1986年で、ノロウイルスと命名されたのが2002年。当時、米国で行われた研究から、ABO式血液型のO型が感染しやすく、AB型は感染しないことが分かったものの、すでにその翌年には新型ウイルスが発見され、AB型も例外ではなくなった。その後もノロウイルスは毎年のように変異を繰り返しているが、昨年に発見された新型の「GⅡ・P17-GⅡ・17」は、車にたとえれば"フルモデルチェンジ"に近く、これまでの免疫はほとんど役に立たず、より感染しやすいという。

牡蠣を食べると感染するって本当!?

 牡蠣(かき)はノロウイルスの感染源の一つとされているが、実際に牡蠣だけでなく二枚貝からノロウイルスが検出されることは多い。二枚貝には海の汚れを取り込んで浄化する能力があり、そのときにノロウイルスも取り込んでしまうためだ。

 番組では、浜松医療センター(静岡県浜松市)の矢野邦夫副院長が、生食用の牡蠣は比較的安全なものの、加熱が不十分な調理用の牡蠣で感染するケースが多いと説明。調理用牡蠣を食べる場合は、85度で1分間以上加熱することが必要とアドバイスした。さらに、体力の弱い高齢者や子供はこの時期に二枚貝を食べない方が安全とされている。

 新型のノロウイルスは過去に免疫を獲得している人も感染を防ぐことが難しいため、今まで感染しなかったからといって過信しない方がよい。予防には、(1)せっけんを使った丁寧な手洗い、(2)トイレ回りの消毒、(3)マスクの着用―などが重要。また、感染した人の嘔吐物や便からほかの人に感染しやすいため、処理をする際は細心の注意が必要だ。なお、アルコール消毒はあまり効果がないため、塩素系の消毒が勧められている。

 発症しても治療薬がないため、ウイルスが排泄されるまでひたすら耐えるしかない。ここで重要なのが、脱水状態を防ぐことだ。水や白湯(さゆ)よりも、経口補水液など電解質成分が含まれた水分を少しずつ、数分おきに取ることが良いとされている。また、高齢者や子供では嘔吐物を喉に詰まらせて窒息したり、誤嚥(ごえん=嘔吐物が気道に入ること)で肺炎を起こしたりするので、こちらも注意が必要だ。

渋柿絞り汁のスプレーでウイルスを99%破壊

 予防接種もなければ、薬もない。では、家庭でどのようにノロウイルスを防げばいいのか。広島大学大学院生物圏科学研究科の島本整(ただし)教授らが研究を重ねた結果、ノロウイルスを99パーセント破壊する成分があることが分かった。それは、渋柿に含まれるタンニン。渋柿のタンニンがノロウイルスのタンパク質に作用し、コンクリートの塊のように固めてしまい、感染できなくさせるという。

 そこで番組では、渋柿を使った予防法を実演。まずは、完熟前の渋柿を沸騰している湯に入れて5分間煮た後、冷ました渋柿の皮をむいてすりおろす。ガーゼなどで絞った汁を消毒用アルコール(エタノール)で3倍に薄めれば完成だ。容器に入れ、まな板や手などにスプレーして使う。渋柿が手に入らなければ、木材の塗料などに使われる無臭柿渋が販売されているので、それを10倍に薄めてもよいという。

(萩原忠久)

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