2016年04月05日 公開

健康長寿にはタンパク質が重要、適切な摂取を

 健康で長生きするには、健康的な食事と適度が運動が良いといわれている。では、どんな食事内容が健康的なのか。英ロンドン大学ユニバーシティーカレッジ(UCL)のリチャード・C・グランジソン氏らが、2009年に英科学誌「Nature」(2009; 462: 1061-1064)で発表した論文に、そのヒントが隠されている。それによると、健康的に年齢を重ねるにはカロリー制限ではなく、タンパク質を適切に組み合わせて摂取することが必要という。ショウジョウバエでの研究だが、近年注目の糖質制限食にも通じる内容と言えるだろう。

必須アミノ酸のメチオニンが鍵

 ショウジョウバエやマウスの実験では、エサを制限すると寿命が延びる一方、生殖能力が減退する副作用があることが分かっている。メスのショウジョウバエでは摂取カロリーが低下すると産卵の頻度が下がるが、生殖できる期間は長くなる。このことは、体の中で作ることができない必須の栄養素が生殖ではなく、まず生存のために使われることを表している。

 グランジソン氏らは、メスのショウジョウバエのエサを調節し、特定の栄養素やカロリー制限が健康増進につながるかどうかを調べた。ビタミン、脂質、アミノ酸といった主要栄養素の量を変えたエサ(酵母、砂糖、水を含む)を与えたところ、生殖能力はアミノ酸の種類や量の組み合わせに影響されることが分かった。

 その中でも、必須アミノ酸のメチオニンが、生殖能力を抑えずに寿命を延ばす上で非常に重要なことが示された。他の栄養素による影響は、ほとんどあるいは全く見られなかったという。

 グランジソン氏らは「アミノ酸のバランスを慎重に調節することで、ショウジョウバエの寿命と生殖能力を最大限にすることができた。また、大幅な食事制限を行わなくても、生殖能力を維持したまま寿命を延ばせる可能性が初めて示された」と述べている。

 食事の制限が寿命に与える影響は、あらゆる生物で見られることから、進化を通して受け継がれてきたと考えられるという。そのためグランジソン氏らは、今回分かった仕組みも多くの生物で共通すると考えている。人間の全遺伝情報であるヒトゲノムにはショウジョウバエの約4倍の遺伝子が存在するが、遺伝子レベルでは人間とショウジョウバエには多くの似ている点があり、今回の結果は人間でも意義を持つと考えられる。

(あなたの健康百科編集部)

更新履歴:
2011年8月5日掲載
2016年4月5日内容再確認