2016年04月05日 16:30 公開

「TVタックル」ひきこもり特集に抗議―斎藤環氏ら

 怒鳴る、部屋のドアを突き破る―大人のひきこもりに対する支援団体のそんな行動が、3月21日放送のテレビ朝日系「ビートたけしのTVタックル」で放送された。これを受け、精神科医の斎藤環氏(筑波大学社会精神保健学教授)らは4月4日、東京都内で記者会見を開き、番組に抗議するとともに、マスメディアが暴力を肯定するような表現を行わないよう訴えた。斎藤氏らは放送倫理・番組向上機構(BPO)に提訴する予定で、その他のアピール行動も考えているという。

「支援という名の暴力」

 番組では、高齢化するひきこもりを取り上げ、その支援を行っている団体「ワンステップスクール伊藤学校」の活動に密着。41歳のひきこもり当事者を説得するシーンなどを放送した。その中には、部屋から出てこない当事者に対し、怒鳴ったりドアを突き破ったりするなどの暴力的な行為や発言も含まれていた。

 記者会見には斎藤氏のほか、ジャーナリストの池上正樹氏、松山大学人文学部の石川良子准教授、他の支援グループや当事者らも参加。それぞれが、暴力的な支援活動を否定するコメントを発表した。

 会見の発起人である斎藤氏は「『暴力』は、個人の私的領域を同意なしに侵犯することと定義されており、こうした『支援活動』が暴力であることに疑いの余地はない」と主張した上で、放送された支援活動には以下の点に問題があると説明。同席した有識者、支援者、当事者らも同様の主旨を表明した。

  • 強要罪などの違法性
  • 暴力を肯定する、倫理性の欠如
  • 当事者の尊厳に配慮しない、人権意識の欠如
  • 当事者が精神疾患だった場合、暴力により悪化させてしまう可能性などの精神医学的見

 斎藤氏は、2006年に支援者の暴行によって26歳男性が死亡した「アイ・メンタルスクール事件」では、暴力的なやり方を称賛していたマスメディアも事件の遠因となったと分析。その後、そうした報道は影を潜めたものの、今回、同番組が放送されたため危機感を募らせ、記者会見を開いたという。

(牧野勇紀)

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