2016年06月21日 16:50 公開

日常のストレスが命を奪う―「キラーストレス」とは?

6月18日放送Nスペより

 ストレスを感じていない人はいないほど、現代社会はストレスだらけ。でも、その日常のストレスが死を招くとしたら―。6月18日放送のNHKスペシャルでは、そんな「キラーストレス」について紹介された。日々のストレスがなぜ危険なストレスに変化するのか、そのメカニズムや予防法は...?

人類が生き延びるのに不可欠な仕組み

 8割を超える人が仕事でストレスを感じているとの調査結果があるが、それだけでなく、子育てや家事、人間関係など、仕事以外でもストレスを感じる場面は数多い。そもそもストレスはどんなときに発生するのか。

 まず、人は強い恐怖や不安を感じると、感情をつかさどる脳の扁桃体が反応し、その指令を受けた副腎からストレスホルモン(コルチゾール)が分泌される。ストレスホルモンは心拍数を上げ、血を固まりやすくするほか、自律神経に血管を締め上げさせて血圧を上げる作用もあるという。

 現代人にとって不健康極まりない状態だが、人類の祖先が狩猟生活をしていた数万年前は、どう猛な動物から生き延びるため不可欠だった。心拍数や血圧を上げることで、瞬時に体を動かせるようになるからだ。

ストレス反応の暴走で体が破綻

 現代人が受けるストレスは、人類が狩猟生活していたときの恐怖や不安とは比べものにならないほど小さいだろう。しかし、それがいくつも重なることで命に関わるストレスになることがある。それが「キラーストレス」で、番組では脳出血を起こして救急病院に運ばれた60歳の女性にスポットを当てた。

 ホテルで働くこの女性の場合、海外からの観光客が急増して忙しくなり、睡眠不足に陥っていたところに親戚の急死という不幸が重なり、気付いた時には目まいを起こしていたそうだ。

 ストレスも一つなら反応はすぐ収まるが、いくつもが重なってストレスホルモンが大量に積み重なると、心拍数が急増して血圧も異常に高くなる。その結果、大動脈が破裂すれば死に直結し、脳の血管が破裂すれば脳出血に陥る。また、自律神経も興奮状態になって心臓の筋肉の血管を締め上げ、心筋梗塞を引き起こすとされている。米エモリー大学のビオラ・バッカリノ教授は、「複数のストレスが重なった時、ストレス反応が暴走して体は破綻する」と警告した。

 さらに、キラーストレスが増え過ぎると、がんを攻撃する免疫細胞の活動を止めてしまうほか、ごく普通の細菌を"殺人細菌"に変えてしまうなど、さまざまな「負の作用」が指摘されているという。

死別だけでなく結婚もストレスの要因

 番組では、こうしたキラーストレスのセルフチェックを紹介。夫や妻の死別、会社の倒産などの項目それぞれに点数が与えられており、最近1年間で当てはまる項目に印を付けるというもの。合計が260点を超えると要注意、300点を超えると死に至る病気に襲われる可能性があるという。など、項目には死別や別居、病気、借金などネガティブな出来事だけでなく、「結婚」「妊娠」「収入の増加」「長期休暇」など、ポジティブなイベントも含まれている。

 番組のゲストが試したところ、女子サッカー元日本代表の澤穂希さんは「引っ越し」「病気やケガ」「結婚」など6項目に該当し、288点で要注意という結果だった。

 九州大学医学部の須藤信行教授(心療内科)は「自分自身が今、どういうストレスにさらされているか客観的に見つめることが重要」と話していた。チェック表は番組公式ページに掲載されているので、試してみてはいかが?

 さらに番組では、米国心理学会が勧める対策として以下の5点を紹介した。

  • ストレスの原因を避ける
  • 運動
  • 笑う
  • サポート得る
  • マインドフルネス(瞑想=めいそう=を活用した心のエクササイズ)

(萩原忠久)

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