2016年07月19日 公開

「山梔子」配合の漢方薬に消化器病リスク

広がるネット販売に医師が警鐘

 生薬が配合された漢方薬には「体に優しく安全」というイメージを持つ人が多い。しかし、生薬にも副作用はある。特に近年、山梔子(サンシシ)という生薬が含まれた漢方薬を飲んでいた人が「腸間膜静脈硬化症」を発症したという報告が相次いでいる。腸間膜静脈硬化症は、大腸や小腸といった腸管から肝臓に流れる「腸間膜静脈」と呼ばれる血管にカルシウムがたまり(石灰化)、腸管の一部で血流が止まってしまう病気だ。2年前(2014年)に生薬が含まれる漢方薬のネット販売が可能になったが、諏訪中央病院(長野県)東洋医学科の永田豊医長らが調べたところ、ネットで販売されている山梔子が配合された薬は341種類もあることが分かったという。同医長はこの調査結果を6月3~5日に高松市で開かれた日本東洋医学会の会合で報告し、「ネット購入した山梔子を配合する漢方薬による腸間膜静脈硬化症のリスクに注意してほしい」と呼びかけた。

副作用の情報伝わりにくい

 山梔子はクチナシの果実を原料とした生薬で、精神不安や充血、吐血、血尿、下血、黄疸などを伴う病気に消炎、止血、解熱、鎮痛薬として配合されるという(参考:「漢方ビュー・生薬辞典」)。この山梔子が配合された医療用の薬を飲んでいて腸間膜静脈硬化症にかかったというケースが2005年頃から相次いで報告されているという。腸間膜静脈硬化症は腹痛や下痢、吐き気といった症状が代表的だが、消化物が肛門に移動できなくなり、お腹の激痛をもたらす腸閉塞の状態になってしまう危険性も。決して軽視できない副作用だ。

 また、2014年に薬事法・薬剤師法が一部改正され、生薬が配合された薬の一部がネットでも販売できるようになったため、山梔子が配合されている薬の使用者が広がっている可能性もある。そこで永田医長らは、 ヤフー・ジャパンやグーグルで山梔子が配合されている薬を検索したところ、山梔子が配合されている薬は341種類も存在していたという。さらに、飲んだ量が累積で5,000グラム以上の人が腸間膜静脈硬化症を発症していたことも分かったという。

 同医長は、生薬が配合されている薬の多くが分類される「第二類医薬品」は、薬を飲む人に対する情報提供が「努力義務」とされているため、副作用の情報が伝わりにくいことを指摘。さらに、ネットで購入した人は副作用を知らずにのむ可能性が高いとして、注意を呼びかけた。

(あなたの健康百科編集部)