2016年08月05日 公開

健康管理にネット活用、高齢者には広がらず

米国で7,600人調査

 いまやわが国では国民の4人に1人が65歳以上。人口の高齢化に伴い膨らみ続ける医療費をいかに抑え、一方で医療の質を高めるにはどうしたら良いか―。議論が続く中、その対策の1つとしてインターインターネットの活用などデジタル技術への期待が高まっている。このことは、日本ほどではないが、やはり人口の高齢化が進み医療費の増大に悩む米国も同様のようだ。ところが、米ブリガムアンドウィメンズ病院のデイビッド・レビン氏らが全米の高齢者約7,600人を対象に実施した調査から、医療や健康に関する情報収集や薬の処方などを目的にインターネットを利用する習慣がある高齢者の割合は2割程度にとどまることが分かった。この結果を踏まえ、レビン氏らは「高齢者にとって使いやすいツールを開発して普及させるべき」としている。この調査結果は米医学誌「JAMA」(2016;316:538-540)に掲載されている。

携帯やPC使っている高齢者は多いが...

 医療や健康管理などに関係したITの活用は既に国内外で広がっている。生活習慣病を予防するためのスマホの健康管理アプリや、紙の冊子ではなくスマホやパソコンで薬の管理ができる電子お薬手帳を利用している人も多いだろう。アプリや電子手帳は利用していなくても、病気や健康に関係した情報収集でインターネットを活用する人は少なくないはずだ。このようにデジタル技術をうまく活用すれば、健康管理や病気の治療に役立ち、医療費の抑制にもつながるのではないかと期待されている。

 ただ、高齢になるほど必要な医療費が増えるが、医療や健康のために高齢者はどの程度インターネットを活用しているのだろうか―。今回、レビン氏らはその実態を明らかにするため、全米の65歳以上の男女7,609人(平均75歳)を対象とした2011~2014年の調査データを分析した。

 その結果、携帯電話を持っている人の割合は76%、パソコンを持っている人の割合は64%、インターインターネット利用者は43%、電子メールの利用者は40%だったが、医療や健康に関係した用途でのインターネット利用者は少なかった。例えば、健康に関する情報収集のためのインターネット利用者は16%、薬の処方のオンラインサービスの利用者は8%にとどまった。また、医療や健康に関係した目的でインターネットを利用したことがあると回答した高齢者の割合も、2011年の調査時点には21%、2014年の調査時点では25%と増加傾向にはあったが少なかった。

 このことからレビン氏らは「医療や健康のためのデジタル技術は高齢者には行き渡っていない。今後、高齢者にとっての使いやすさや拡張性(利用者が増えたときに対応できる能力)に照準を合わせた技術革新が望まれる」と指摘している。

(あなたの健康百科編集部)