2016年09月21日 06:00 公開

ビタミンDサプリが喘息治療に有効か

6カ国9研究をロンドン大が分析

 喘息(ぜんそく)治療において、ビタミンDのサプリメントが注目されている。ビタミンDには、血液中のカルシウム濃度を一定に保ち、丈夫な骨をつくるという重要な役割があるが、それ以外にも多くの働きがあることが分かっている。その一つが喘息への関与だ。軽症から中等症の成人喘息患者を対象とした複数の研究を合わせて分析したところ、通常の喘息治療にビタミンDのサプリメントをプラスすると喘息の悪化が避けられることが示された、と英ロンドン大学の研究グループが報告した。詳細は、9月5日発行の「Cochrane database of systematic reviews」(電子版)に掲載されている。

入院するほどの悪化リスクが6割減

 血液中のビタミンD濃度が低い喘息患者は症状が悪化しやすくなるとされているほか、ビタミンDの補充で喘息を悪化させる風邪にかかるリスクが減る可能性があることが指摘されている。研究グループは今回、日本やカナダ、インド、ポーランド、英国、米国で行われた9件の喘息患者が対象の研究(小児患者425人、成人患者658人)を分析し、ビタミンDと喘息悪化の関係を調べた。なお、対象となった患者のほとんどが軽症または中等症の喘息患者だった。

 9件の研究のうち、対象のほとんどが成人の3研究を分析したところ、ビタミンDのサプリメントを摂取すると、摂取しない場合に比べ、ステロイド薬の全身投与(吸入薬でなく注射や飲み薬)が必要になるほど症状が悪くなるリスクが37%低下した。この数値は、悪化の頻度が1人当たり年間0.44回から0.28回に減ることに相当するという。

 また、7研究のデータを使った分析では、ビタミンDサプリメントの摂取により、入院や救急受診が必要となるほど症状が悪化するリスクが61%低下した。これは、悪化が患者100人につき6件から3件程度に減る計算になる。

 以上のことから、研究グループは「標準的な喘息治療にビタミンDサプリメントを加えることで、重い副作用を起こすことなく、喘息の悪化リスクを減らせることが示された」と評価。しかし、ステロイド薬の全身投与が必要なほどの悪化を減らしたという結果は、わずか3件の研究データに基づくもので、しかも対象患者のほとんどが軽症や中等症の成人だったことから、「重症の成人患者や子供でも同様の効果が得られるか、引き続き確認する必要がある」とコメントした。

 さらに研究グループは、この効果が全患者に当てはまるのか、それとも血液中のビタミンD濃度が低い患者のみで有効なのかについては、「現在解析中で、数カ月以内に結果が得られる予定」としている。

(あなたの健康百科編集部)