2017年04月24日 公開

WHO条約の実行で喫煙率が低下

世界126カ国の喫煙、禁煙状況を調査

 たばこの規制に関する世界保健機関枠組み条約(FCTC)が2005年に発効されて以来、締約国ではFCTCの遵守を目指してさまざまな取り組みが行われている。国際たばこ規制策評価プロジェクトを率いるカナダ・ウォータールー大学の研究グループは、FCTCに盛り込まれているたばこ消費抑制策5項目のうち、完全履行されている項目数が1つ増えるごとに、喫煙率は2015年までの10年間で平均7.09%低下したと、医学誌「Lancet Public Health」(2017年3月21日オンライン版)で報告した。

日本、たばこ消費抑制策5項目のうち1項目のみ完全実施

 WHOによると、たばこは全世界で毎年約600万人の命を奪い、医療費増大や生産性低下による世界経済への打撃も大きい。たばこによる損失は毎年1兆ドル以上に達すると試算されている。

 FCTCの締約国は180カ国に上るが、政策的な取り組みには各国間で大きなばらつきがある上、たばこ消費抑制策の5項目「たばこへの課税強化」「公共の場での禁煙の徹底による受動喫煙の防止」「包装・ラベルへの警告表示の徹底」「広告・販促・スポンサー活動の禁止」「禁煙治療支援サービス」()の実現が、実際の喫煙率低下につながるとの明確なエビデンスも得られていなかった。

 そこで、研究グループは、WHO加盟の194カ国・地域のうち喫煙率に関するデータが入手可能であった126カ国(FCTC締約国116、残り10カ国は米国、スイスを含むFCTC非締約国)について、たばこ消費抑制策の5項目のうち、何項目が政策として完全実施されているか、また完全実施されている項目の数は2007年と2014年でどう変化したかを調査。

 次に、完全実施項目の変化と喫煙率の推移(2005年と2015年のデータを利用)とが、どのような関係にあるかを検討した。

 たばこ消費抑制策の完全実施項目数を見ると、2014年までに全5項目の完全実施を達成したのは1カ国(1%)、4項目が4カ国(3%)、3項目が10カ国(8%)、2項目が20カ国(16%)、1項目が日本を含む40カ国(32%)、該当項目なしが51カ国(40%)であり、2014年における完全実施項目数の平均は1.04であった。

 2007年と比較すると有意な増加が認められ、とりわけFCTC締約116カ国では5項目の全てで有意な増加が確認された。

 また、2014年時点で最も多くの国で完全実施されていた項目は「公共の場での禁煙措置」であったのに対し、最も完全実施が遅れている項目は「広告の禁止」であった。

たばこ消費抑制策の項目1つの完全実施で喫煙率が7.09%低下

 次に喫煙率を見ると、2005年における126カ国の平均は24.73%であったのに対し、2015年の平均は22.18%となり、喫煙率は10年間で2.55%ポイント低下していた。10年間の喫煙率低下はFCTC締約国で10.63%であったのに対し、FCTC非締約10カ国では7.07%にとどまっていた。

 また、2005年以降の10年間で、全126カ国中90カ国(71%)で喫煙率が低下していたのに対し、上昇していた国は24カ国(19%)で、変化なしは12カ国(10%)だった。

 解析の結果、2007~14年にたばこ消費抑制策の完全実施項目数の増加は、2005~15年における喫煙率低下と有意に相関していた。また、完全実施項目数が1つ増えるごとに、喫煙率は平均7.09%低下していた。

 研究グループは「今回の研究結果から、FCTCによりたばこ規制策の施行件数が増えると、喫煙率は低下した。FCTCの目的は、主なたばこ消費抑制策の完全実施により達成が可能であることが示された」としている。

(あなたの健康百科編集部)