2017年06月08日 公開

実は大人も!? ネット依存症

睡眠障害や自殺リスクに関連

 近年、小学生でもスマートフォンを持っていることが珍しくなくなってきている。スマートフォンやタブレットの普及もあり、いつでもどこでも手軽にインターネットにアクセスできる便利な世の中になった。しかし、一方で弊害もある。「インターネット依存症(ネット依存症)」は、過度なインターネットへの依存によって、日常生活に支障を来す状態だ。このたび、韓国の成均館大学校などの研究グループは、成人を対象にネット依存に関する調査を行い、その結果を発表した。研究の詳細は、4月6日発行の科学誌「PLOS ONE」(2017;12:e0174619)に掲載されている。

成人の6.35%がネット依存症

 ネット依存症は、子どもだけでなく、今や大人にも多いという。しかし、これまでネット依存症に関する研究は、若い人を対象としたものしか行われてこなかった。

 そこで研究グループは、韓国内に住む成人を対象に、ネット依存と自殺や睡眠との関連について調査した。

 今回の調査では、20項目の質問から成るインターネット依存度テスト、精神疾患を診断する世界保健機関(WHO)の複合国際診断面接(韓国版)、自殺に関するアンケートを実施。その中から、18~64歳の男女3,212人を無作為に選び、調査対象とした。

 この3,212人のうち204人(6.35%)がネット依存症と評価された。 ネット依存症の人は、そうでない人に比べて、若年、男性、未婚者、失業者である傾向が強かった。しかし、両グループの睡眠時間に大きな差は見られなかった。

 また、ネット依存症の人は、そうでない人に比べて、寝つきが悪かったり、睡眠の持続が困難になったりすることが多かった。さらに、寝ても疲れが取れない、日中の活動に支障を来す、平日に10時間以上睡眠を取るといった傾向も見られ、睡眠の質が低下していた。

睡眠不足+ネット依存で高まる自殺リスク

 続いて、研究グループは、睡眠不足の有無で分けて、ネット依存と自殺との関連について検討した。

 その結果、睡眠が不足しているネット依存症の人は、睡眠不足ではあるがネット依存症ではない人に比べて、自殺を計画したり試みたりする頻度が高かった。性別や年齢、学歴、婚姻の状況で偏りが出ないよう調整して解析したところ、睡眠不足かつネット依存症の人は、睡眠不足ではあるがネット依存症ではない人に比べて、自殺を計画するリスクが3.83倍、生涯のうち自殺を試みるリスクが 3.34倍、それぞれ高かった。

 一方、睡眠不足の無いグループにおいて、性別や年齢などを調整したところ、ネット依存症の人は、そうでない人に比べて、特別な理由なく死にたい気持ちが高まる自殺念慮のリスクが2.17倍高かった。同様に、自殺を計画するリスクは3.33倍高かった。

 さらに、ネット依存症の人は、睡眠障害が重度になるほどインターネット依存度テストのスコアが悪く、ネット依存の重症度が高まることが分かった。こうした傾向は、過去に自殺を試みた経験のある人でより顕著だったという。

 研究グループは「若者ではなく成人を対象とした研究で、睡眠障害のあるネット依存症の人は、自殺を計画したり実行に移したりするリスクが高いことが示された」と今回の結果を振り返り、その上で「本結果はもちろん、適切な睡眠が心の健康にとっても重要であることを踏まえ、われわれ専門家は睡眠障害とネット依存が併存することを認識すべきだ」との考えを示した。

 さらに、研究グループは「インターネットのコンテンツに関する情報や、どういったデバイスを使ってインターネットにアクセスしているかといったことを含めて、検討していく必要があるだろう」と今後の課題を示している。

(あなたの健康百科編集部)