2017年06月26日 公開

妊娠中の抗うつ薬がADHDリスクを高める

香港の研究から:抗うつ薬の服用については慎重な判断が必要

 妊娠前や妊娠中に薬を服用していると、生まれる子どもにどのような影響があるのか気になるところ。その薬が抗うつ薬である場合、心配は尽きないだろう。香港の研究グループが大規模な研究の結果から、妊娠中の抗うつ薬の服用は子どものADHDの発症に関連性があると、医学誌「BMJ」(2017;357:j2350)に発表した。

抗うつ薬未使用例と比較してADHDリスクが1.76倍

 研究グループは、2001~2009年に香港の公立病院で生まれた19万618人の子どもとその母親を対象とした。妊娠中の抗うつ薬の服用と、子どもが6~14歳までにADHDと診断されたかどうかを調査するため、2015年まで追跡した。

 1,252人の母親が妊娠中に抗うつ薬を服用し、5,659人の子どもがADHDと診断され、支援やケアを受けていた。

 子どもがADHDを発症するリスクは、母親が抗うつ薬を服用していない場合と比べて、服用していた場合では2.26倍と高くなった。母親の精神障害や他の精神病薬の服用といった条件を調整すると、リスクは1.39倍となった。

 同様に、妊娠前に抗うつ薬を一度も使用したことのない母親の子どもと比べたところ、ADHD発症リスクは1.76倍となった。

 また、たとえ母親が抗うつ薬を一度も使用したことがなくても、精神障害がある母親と精神障害のない母親で比べたところ、子どものADHDの発症リスクは1.84倍となった。

 こうした研究結果は、妊娠中の抗うつ薬の使用と子どものADHDの関連性を一部ではあるが示しているといえるだろう。子どものADHDが、妊娠中の抗うつ薬の服用が原因であるという可能性を完全に否定することはできないものの、何かしら別の因果関係が存在する可能性もある。

 妊娠中に抗うつ薬を服用するかについては、女性と家族の状況についてリスクと利益を慎重に考えた上で、その決定がなされるべきであることを示唆しているという。

(あなたの健康百科編集部)