2018年06月11日 06:00 公開

多産が糖尿病のリスクに!?

 少子化問題を抱える日本では、国を挙げた対策が講じられている。そんな中、こうした動きに水を差しかねない新たな研究成果が、JPHC研究を実施する国立がん研究センターなどの研究グループから報告された。出産回数が多いほど、糖尿病の発症リスクが高まるという。研究の詳細は、4月18日発行の医学誌「Journal of Diabetes Investigation」(電子版)に掲載されている。

出産回数が多いほど糖尿病リスクが上昇

 肥満や運動不足、喫煙、糖尿病の家族歴などがあると、糖尿病のリスクが高まることはよく知られているが、性ホルモンも糖代謝に関連していることが分かっている。例えば、女性ホルモンであるエストロゲンは、糖尿病の原因となるインスリン感受性を改善したり、インスリン分泌を高めたりする。エストロゲンの血中濃度は、生理周期や妊娠・出産などの影響を受けて変化するため、これらの要因が糖尿病の発症に関連している可能性がある。

 そこで研究グループは、JPHC研究に参加した45~75歳の女性のうち、糖尿病やがん、循環器系疾患の病歴のない3万7,511人を対象に、研究開始時と5年後に、女性関連要因に関するアンケートを実施。初経年齢、月経状況、閉経年齢、初経から閉経までの期間(生殖可能期間)、ホルモン剤の使用歴、出産回数、初産年齢、授乳歴を調べた。また、研究開始から10年後に、糖尿病の発症の有無を確認した。集めたデータに基づき、女性関連要因と糖尿病発症との関連を検討した。5年後調査以降の5年間に糖尿病を発症したのは513人だった。

 その結果、未経産婦に比べ出産回数の多い女性ほど、糖尿病の発症リスクが高まった。しかし、肥満度の指標であるBMIの影響を除くと、この傾向は弱まった。そして、出産回数以外の女性関連要因には、糖尿病発症との関連は見られなかった。

 今回の結果について、研究グループは、「出産に伴う糖尿病リスクの上昇は、産後の体重増加が理由の1つとして考えられる」と分析。実際、解析対象となった女性は、出産回数が多いほどBMIが高い傾向だったという。

 これまでの欧米等の研究では、初経年齢や閉経年齢が早い人、閉経した人は、糖尿病の発症リスクが高まると報告されている。にもかかわらず今回の研究では、出産回数以外の要因は、糖尿病発症との関連が認められなかった。この点について、研究グループは「理由ははっきりしないが、糖尿病の重要なリスク因子である肥満の割合が、欧米と日本では大きく異なるためかもしれない」と推察。さらに「女性関連要因と糖尿病に関して、日本を含むアジアでの研究は少ない。今後はさらなる研究データの蓄積が必要だ」とコメントした。

(あなたの健康百科編集部)