2018年06月17日 06:00 公開

乾癬という病気を知ってる?

 昨年、モデルの道端アンジェリカさんがカミングアウトした「乾癬」という病気を知っているだろうか(関連記事:「アンジェリカさん『乾癬、告白してよかった』」)。ヤンセンファーマが東京都内で開催したプレスセミナーにおいて、名古屋市立大学大学院加齢・環境皮膚科学教授の森田明理氏とINSPIRE JAPAN WPD乾癬啓発普及協会事務局長の添川雅之氏が、医師と患者の立場から乾癬について解説した。

日本の推定患者数は50〜60万人

 森田教授によると乾癬は全世界で1億2,500万人、日本では50〜60万人の患者がいるという。頭や背中、手足などの皮膚が赤くなって盛り上がる"皮疹"ができて痛痒くなったり、皮膚の表面に銀白色のかさぶた(鱗屑)が付着して、フケのようにぱらぱら落ちるといった症状が現れる。関節の腫れや痛みを伴ったり(関節症性乾癬)、高血圧や糖尿病、動脈硬化、心筋梗塞を合併することもある。

 乾癬の診断に関しては、ヤンセンファーマが行った乾癬患者200名に対するアンケートから、症状を認識してから受診するまでに平均で2年弱かかり、実際に診断されるのはさらに1年半後だったという結果が示された()。つまり、乾癬を発症して診断に至るまでに3年半もの期間を要していることになる。森田教授は「症状が進行する前に治療を進めることが重要です」と述べるとともに、患者に対しては「乾癬の症状が治まりさえすればいいと思っている患者さんが多いですが、どのような治療を行ってどのように治療していくのかを、患者さん自身が理解して選択することが大切です」と指摘した。

図. 平均的な乾癬の経過

(プレスセミナー発表資料を基に作成)

 治療はビタミンD3外用剤やステロイド外用剤などの塗り薬、紫外線療法、レチノイド、シクロスポリン、アプレミラストなどの飲み薬、生物学的製剤の注射により行い、症状がほとんどない状態に抑えることができる。森田教授は「まず塗り薬で治療を開始して、その後は症状に応じて紫外線、飲み薬、生物学的製剤による治療を行います」と説明した。

乾癬に対する正しい理解が求められる

 添川氏は14歳で乾癬を発症し、22歳の時に皮疹が全身に広がり、28歳の時に最も重篤で指定難病に認定されている汎発性膿疱性乾癬となった。7年にわたる入退院を繰り返す期間を経て、現在は治療により症状を抑えることができているという。乾癬について「痒みや痛み、倦怠感といった肉体的苦痛に加え、見た目やその音の響きから『感染症』と誤解されることが多く、乾癬患者であることを人に話したり、皮膚を人目に晒すことに強い抵抗を覚える」と説明し、精神的苦痛を伴う病気であることを訴えた。

 日常生活においては「夏でも長袖のシャツを着る、鱗屑が目立たないような色の服を着る、銭湯や温泉を控えるなど、さまざまな制限がある」と話す。また、皮疹が頭皮に出やすいため理髪店にも行きづらいが、「医療機関内の理髪店であれば乾癬に対する理解があるだろう」と考えて大学病院内の理髪店を訪れた乾癬患者の友人が、診断書を求められたという悲しいエピソードを紹介した。

 乾癬という病気を説明することも労力を要する。添川氏は「例えば、アトピー性皮膚炎は知名度の高い病気であり、アレルギー性の皮膚の病気であることをすぐに理解してもらえる。しかし、乾癬は知名度が低いため、説明してもなかなか理解してもらえない」と語った。そして「知名度が低いため差別や偏見の対象となり、患者さんはつらい思いをしている。乾癬という病気があること、うつる病気ではないことを多くの方に知ってもらい、理解してもらいたい」と訴えた。

 また、患者会を通じて乾癬に苦しむ仲間と出会い、救いになったことから、「乾癬患者は病気を隠すために自分以外の患者を知らない人が多いが、1人で悩まないでほしい。全国に多くの患者会があり、同じ悩みを抱えた仲間が、乾癬と折り合いをつけて生活している。参加することで心が軽くなると思うので、是非参加していただきたい」と述べた。

(あなたの健康百科編集部)