2018年07月23日 公開

アブラナ科の野菜で長寿を目指せる

 ヘルシー志向がブームとなる昨今、健康的な食生活に野菜が欠かせないことは常識となりつつある。キャベツや白菜、大根やブロッコリーといったアブラナ科の野菜は栄養価が高く、注目に値する1つだ。そうした中、国立がん研究センターなどの研究グループが、食事調査票に回答した日本人約9万人を追跡した調査結果に基づき、アブラナ科野菜の摂取と死亡との関連について検討。アブラナ科野菜の摂取量が多いほど、死亡リスクが低いことが示されたという。研究の詳細は、4月発行の医学誌「Clinical Nutrition」(電子版)に掲載されている。

最少摂取量グループを基準に、他の4グループの死亡リスクを検討

 アブラナ科の野菜には、辛み成分の1つである「イソチオシアネート」が多く含まれている。イソチオシアネートには、抗がん作用や抗炎症作用、抗酸化作用のあることが動物実験などで示されているため、アブラナ科野菜で慢性疾患が予防できるのではないかと期待されている。これまでの研究では、アブラナ科野菜の摂取と全ての死亡、がんによる死亡、脳卒中や心筋梗塞など循環器疾患による死亡との関連について検討されてきたが、確かな結論には至っていない。また、その他の主要な死因との関連については検討されてこなかった。

 そこで今回、研究グループは、45~74歳の日本人8万8,184人(男性4万622人)におけるアブラナ科野菜の摂取と、全死亡および疾患別死亡との関連を調査した。138項目から成る食物摂取頻度質問票の回答を使って、漬け物を含む11項目のアブラナ科野菜(キャベツ、大根、小松菜、ブロッコリー、白菜、チンゲンサイ、からし菜、フダンソウ、たくあん、野沢菜漬け、白菜漬け)から、総アブラナ科野菜の摂取量を推定。摂取量により、男女別に5グループに分類した。その後、アブラナ科野菜の摂取量が最も少なかったグループを基準として、その他のグループの全死亡リスク、疾患別(がん、心臓、脳血管、呼吸器、外因)死亡リスクとの関連を検討した。

男女ともアブラナ科野菜の摂取が多いほど全死亡リスクが低下

 16.9年(中央値)の追跡期間中に、1万5,349人が死亡した。アブラナ科野菜の摂取量が最も多かったグループの全死亡リスクは、最少グループに比べ、男性では14% (図1)、女性では11%(図2)低かった。

 アブラナ科野菜の摂取と死亡との関連を疾患別に検討したところ、男性ではアブラナ科野菜の摂取量が最多だったグループは、最少グループに比べて、がんによる死亡リスクが顕著に低かった(図1)。

 一方の女性では、アブラナ科野菜の摂取量が最多のグループは、最少グループに比べて、心疾患および外因による死亡リスクが明らかに低く、脳血管疾患による死亡リスクにも低下の傾向が見られた(図2)。心疾患と脳血管疾患による死亡リスクの低下について、研究グループは「こうした傾向は先行研究とも一致しており、イソチオシアネートの抗炎症作用によるものと考えられる」とコメント。さらに、外因による死亡リスクに関しては「過去の研究では、アブラナ科野菜の摂取により、認知機能の改善や抑うつの予防が報告されている。そのことが、事故死や自殺の予防につながっているのかもしれない」と推察した。

イソチオシアネートが喫煙者の死亡リスク低下に関与

 また、全死亡リスクとの関連をアブラナ科野菜の項目別に見たところ、男性ではブロッコリーとたくあんの摂取量が、女性では大根とブロッコリーの摂取量が最多のグループで死亡リスクの低下が示された。

 さらに、喫煙状況別に死亡リスクを検討したところ、過去に喫煙歴があるか、現在喫煙習慣のある男性では、アブラナ科野菜の摂取量が最も多いグループでがん死亡リスクが顕著に低下していた。しかし、非喫煙者ではそうした関連性は見られなかった。「イソチオシアネートを多く摂取することで、たばこに含まれる発がんに関連する物質の活性化が抑えられた可能性がある」と研究グループ。

 研究グループは「本研究の結果から、アブラナ科野菜の摂取は死亡リスクの低下と関連があることが示唆された」とし、さらに「詳細なメカニズムを明らかにするため、イソチオシアネートの種類を詳しく検討する解析や、尿中イソチオシアネートなどの生体指標を用いての検討も必要だろう」と今後の課題を示した。

(あなたの健康百科編集部)