2018年09月07日 06:00 公開

ザリガニがマラリアやジカ熱を増やす!?

 米国の南カリフォルニアでは、元々、米国南東部ミシシッピ川流域に生息していたアメリカザリガニ(以下、ザリガニ)の増加が深刻な問題となっている。米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の研究者は「ザリガニの増加は、ヒトにも影響を与える世界的な問題だ」と述べている。増加したザリガニが水生生物を捕食しすぎるため、生態系のバランスが崩壊。ボウフラ(蚊の幼虫)が増えて、蚊の媒介する疾患の増加につながるという。詳細はConservation Biology2018年8月6日オンライン版)に発表された。

ザリガニの多い川はヤゴが減りボウフラが激増

 蚊は、ヒトの血を吸うという行動でマラリアやジカ熱、日本脳炎などの病原体を伝染させる悪名高い媒介者である。山間部などの自然界ではヤゴ(トンボの幼虫)がボウフラを食べており、ヤゴによって蚊の数がコントロールされているといえる。しかし、ザリガニはヤゴを食べ尽くし、捕食者と獲物のバランスを崩壊させる。ザリガニもボウフラを食べなくはないが、ヤゴほどではない。

 研究者は、ザリガニが生息する川にはヤゴが少ないことを発見し、サンタモニカマウンテンの13の河川を調査した。その結果、ザリガニが生息する多くの川ではヤゴが少なく、ボウフラが非常に多い傾向が見られた。逆に、ザリガニが生息していない川では多くのヤゴが確認され、ボウフラはほとんどいなかったという。

南極以外の全ての大陸に影響を及ぼす

 研究者はさらに、実験室での研究を行った。①ザリガニのみ②ヤゴのみ③ザリガニとヤゴ−の3つの水槽を用意し、その中にボウフラを入れた。すると、ヤゴのみの水槽ではボウフラはいなくなったが、ザリガニのみの水槽では明らかなボウフラの減少は見られなかった。ザリガニとヤゴの両方を入れた水槽では、ザリガニのみの水槽と同様にボウフラが多数残り、ザリガニが捕食者(ヤゴ)と獲物(ボウフラ)の関係を崩壊させることが示された。

 研究者は「われわれはヤゴの奇妙な行動を観察した。ヤゴはザリガニとどう接すればいいのか分からない様子で、ハサミの上にとまったりしていた。ザリガニの存在はヤゴを混乱させ、本質的に貪欲な捕食者ではない存在にしてしまった」と指摘している。

 今回の調査結果から示された問題は、南カリフォルニアだけのものではない。ザリガニは南極以外の全ての大陸に影響を及ぼす侵略的な種である。研究者によると、ザリガニは多くの地域でまさにヤゴとボウフラのように捕食者と獲物の関係を混乱させ、生態系全体に大きな害を与えている。そして、外来生物としてのザリガニを駆除することは、生態系の回復だけでなく、マラリアやデング熱の予防という点でも大きな意味があるという。

(あなたの健康百科編集部)