2018年10月19日 公開

世間の目とギャンブル依存症

 「意思が弱い」、「自業自得だ」。ギャンブルに陥って借金を重ねる人への世間の目は冷たい。しかしギャンブル依存症は、世界保健機関(WHO)も認める病気である。自己抑制が効かないコントロール障害とされる。
 日本で、過去にギャンブル依存症と疑われる状態になったことがある人は3.6%、約320万人と推計される(2017年、厚生労働省調査)。これは、糖尿病患者数316万人(2016年)に匹敵する。依存症の主因となっているのが、全国に1万店以上あるパチンコ・パチスロ店だ。

自殺に至る病

 公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」によるギャンブル依存症患者を対象にした調査では、「はまっていたギャンブル」として90%以上の人がパチンコ・パチスロと答えている。自らも依存症だった経験者は、「ギャンブル依存症は、脳内で意欲や快感などに関わる物質ドーパミンが過剰反応し、自己抑制が効かなくなる。誰がそのようになるかは、分からない」と指摘する。

 ギャンブル依存症は自殺に至る病でもある。ギャンブル依存症の人の多くが「やめるには死ぬしかないと思った」と語り、実際に自殺した人も多い。2013年の厚労省調査では、「自殺をしたいと思ったことがある」と答えたギャンブル依存症の人は62.1%で、一般人の4倍以上。実際に自殺を計画した人の割合は40.5%と、20倍以上になる。

家族にのしかかる負担

 もう1つの問題が、ギャンブル依存症の影響を直接受ける家族の負担である。公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」の調査では、8割以上の家族がギャンブルによる借金を肩代わりしていた。金額は500万円以上が約4割。また過半数の家族が、3回以上肩代わりをしていた。
 実は、ギャンブルによる借金を家族が肩代わりするのは、病気を進行させることにつながる。問題がいっぺんに片付くことで、ギャンブルによる一発逆転と同様な感覚を本人に与えてしまい、「負けても取り戻せる」と、かえってギャンブルを誘発してしまうという。早期に病気であると分かれば、他の対処法の可能性もある。

治療薬もなく

 そして、治療薬がないのがギャンブル依存症の特徴である。

 夫婦でギャンブル依存症だった経験を持つ人が初めて医療機関にかかったとき、「医者だけでは治せない」と言われ、自助グループを勧められた。自助グループに加わり、その支援を受けて病気を乗り越えられたという。依存症を告白し、周囲に助けを求めることが依存症克服の第一歩となるのだ。

 ただ、患者の受け皿となる自助グループの数は少ない。同会によると、ギャンブル依存の自助グループは全国で170あまり。アルコール依存や薬物依存の自助グループに比べて少なすぎるという。
 「依存症は慢性疾患であり、ギャンブルを一時的にやめられても、継続は困難。寄り添い続けていくことが必要だ」と、田中代表は自助グループが果たす役割の重要性を指摘する。

(「連合通信・隔日版」より一部改変)

(あなたの健康百科編集部)