2018年11月01日 06:00 公開

歯の数と睡眠トラブルは関係する!?

 年を取ってもできるだけ自分の歯を保持することは、健康長寿の秘訣である。これまでに、歯のない人は認知症になりやすい、骨折しやすいといった研究結果も報告されている。先ごろ東北大学などの研究グループは、65歳以上の高齢者を対象に歯の数と睡眠時間との関連を検討。歯の少ない高齢者は、睡眠過多または睡眠不足のリスクが高くなると報告した。詳細は、Sleep Med(2018; 52: 18-22)に掲載されている。

不足リスク1.4倍、過多リスク1.8倍

 睡眠時間は短過ぎても、長過ぎても死亡率が上がる他、糖尿病をはじめとする循環器疾患や肥満などの全身疾患にも関連することが、過去の研究で示されている。また、歯は咀嚼だけでなく、噛み合わせを良好に保つ役割も担っており、歯が1本もない人は下顎が上方に動くことで気道に影響が及び、睡眠時の呼吸を妨げる可能性があるとされている。しかし、これまでに高齢者を対象に歯の数と睡眠時間との関連を調べた研究はなかった。

 そこで研究グループは、日本の高齢者の実態把握を目的に実施された日本老年学的評価研究(2010年調査)に参加した65歳以上の男女について、現在の歯の数と睡眠時間との関連を検証した。睡眠時間は4~10時間を1時間ごとに区切り、歯の数は20本以上、10~19本、1~9本、0本に4分割。睡眠時間は7時間を基準とし、性、年齢、BMI、教育歴、所得、メンタルヘルス、外出頻度、糖尿病の有無、歩行時間、日常生活行動、喫煙歴を調整した上で、睡眠不足または睡眠過多のリスクを解析した。

 解析対象は、睡眠時間の質問に対して回答の得られた2万548人。平均年齢は73.7歳だった。

 睡眠時間が7時間と回答したのは全体の28.1%だった。歯が0本のグループでは、睡眠不足(4時間以下)が3.3%、睡眠過多(10時間以上)が9.0%だったのに対し、歯が20本以上のグループでは、それぞれ2.3%、2.8%だった。

 解析の結果、歯が20本以上あるグループと比べて、0本のグループでは、睡眠不足のリスクが1.43倍、睡眠過多のリスクが1.75倍だった。また、残っている歯が1~9本のグループでは、それぞれ1.29倍、1.48倍と、0本のグループと同様の傾向が示された。

 研究グループは「高齢者を対象に、歯の数と睡眠時間との関係を明らかにしたのは、私たちが知る限り本研究が初めてだ」とした上で、結果については「歯の数と睡眠時間に関わるリスクとの関係性は、歯が1~9 本残っている人よりも、歯のない人でいっそう強まった。より多くの歯を残せるよう歯の健康を保つことが、適切な睡眠時間の維持、ひいては健康長寿につながる可能性が示された」とコメントしている。

(あなたの健康百科編集部)