2018年11月02日 06:00 公開

かぜに抗菌薬は効く?効かない?

 結論から言うと、かぜやインフルエンザに抗菌薬は無意味であるばかりか害悪となる可能性がある。しかし、多くの人が「かぜに抗菌薬は有用」と考えているという調査結果が示された。国立国際医療研究センター病院のAMR臨床リファレンスセンターは10月30日、抗菌薬に対する意識調査の結果を公開(http://amr.ncgm.go.jp/infographics/008.html)。調査結果はインフォグラフィックを用いて分かりやすく解説されている。

半数近くの人が「かぜやインフルエンザに抗菌薬は有用」と誤解

  「抗菌薬・抗生物質という言葉を聞いたことがありますか?」という質問に対し、66.7%が「ある」、27.5%が「あるが詳しくは分からない」と回答しており、ほとんどの人が聞いたことがあるという結果だった。抗菌薬は細菌を破壊したり増殖を抑制する薬剤であり、抗生物質は抗菌薬の一種で「微生物から作られるもの」である。抗生物質は「抗生剤」と呼ばれることもある。代表的な抗生物質としては青カビから作られる「ペニシリン」が有名だ。幕末にタイムスリップした医師が活躍するドラマにも登場したことからご存じの方も多いだろう。

抗菌薬・抗生物質がどのような病気に有用かについては49.9%が「かぜ」、49.2%が「インフルエンザ」と回答しており、半数近くの人がかぜやインフルエンザに抗菌薬・抗生物質が有用と誤解していた。その一方で、抗菌薬・抗生物質が有用な疾患である膀胱炎や肺炎について、有用であると答えた人はそれぞれ26.7%、25.8%にとどまった。

かぜで受診した際に処方してほしい薬については、症状を抑える薬が上位に並んだものの、30.1%の人が本来は不要である「抗菌薬・抗生物質」を処方してほしいと答えている。

 抗菌薬・抗生物質は細菌による感染症を治療する薬剤であり、かぜやインフルエンザといったウイルスによる感染症には効果がない。そればかりか、副作用の危険性や抗菌薬が効かない薬剤耐性菌を生み出す恐れがある。ウイルスによる感染症には抗ウイルス薬が有用だが、かぜは原因となるウイルスが多岐にわたるため、現実的にはかぜに有用な抗ウイルス薬は存在せず、自己免疫による自然治癒を待つしかない(インフルエンザウイルスに対する抗ウイルス薬は存在する)。

AMR臨床リファレンスセンターでは、今回紹介した調査結果の他にも抗菌薬の正しい使い方や薬剤耐性菌について解説している(http://amr.ncgm.go.jp/infographics/)。本格的なかぜ、インフルエンザシーズンの到来の前に、抗菌薬について調べてみてはいかがだろうか。

抗菌薬意識調査2018 調査概要
集計期間:2018年8月30日〜9月3日
調査方法:インターネット集計
調査対象:10代〜60代の男女
調査人数:全国721名
性別:男性360名、女性361名
年齢:15〜19歳 120名、20〜29歳 120名、30〜39歳 120名、40〜49歳 121名、50〜59歳 120名、60歳以上 120名

(あなたの健康百科編集部)