2018年11月13日 公開

スマホで心房細動が分かる?

 近年、スマートフォンやスマートウオッチなどがヘルスケアの分野でも役立てられている。2012年には、米国で心電測定機能を持つモバイル型ユニット「AliveCorTM (アライブコア)heart monitor」が米食品医薬品局(FDA)に初めて承認された。これにより米国では、医療機関がスマホを通して患者の心電図データを遠隔モニタリングし、不整脈が認められた場合には患者に精査を勧められるようになった。オーストラリア・University of Melbourne/Royal Melbourne HospitalのBernard Yan氏らの研究グループは、AliveCorTM heart monitorによる心房細動検出率を、24時間心電図と比較する研究を行った。その結果を、第11回世界脳卒中会議(WSC 2018、10月17~20日、モントリオール)で発表した。

心電図データの記録から送信まで数分で完了

 心房細動は、不整脈の中でも患者数が多い。心臓は、正常な状態で安静時なら1分間に60〜100回程度、規則的に拍動する。しかし心房細動では、1分間に300回以上、不規則に拍動する。自覚症状として動悸、息切れ、疲労感を覚えるようになり、脳梗塞のリスクも高まるため要注意だ。

 通常、脳梗塞などで心房細動か否かを確認するには、長時間の心電図データが記録できる24時間心電図検査を用いる。ところが、発作性の心房細動の場合、24時間心電図でも捉えられないことが多い。より長時間の心電図データで、心房細動の検出率が上がることは示されてはいるが、現実的ではない。そこで近年、スマホなど、24時間肌身離さず持っているデバイスを用いた心電図の遠隔モニタリングシステムが注目されている。

 AliveCorTM heart monitorを使用した心電図モニタリングシステムは、スマホと心電図パッドをBluetoothで接続し、パッドに左右の手の指先を30秒程度当てて心電図を測定する。心電図データはスマホを通して心臓専門医にWi-Fiで送信される。心電図データの記録から送信まで数分で完了する。

24時間心電図で確認できない心房細動も検出

 研究グループは今回、AliveCorTM heart monitorによる心房細動の検出率を、24時間心電図と比較する研究を行った。研究の対象者は、急性虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作で入院中の患者で、過去に心房細動を起こした患者は対象外とした。計294人に対して、24時間心電図とAliveCorTM heart monitorの両検査を実施した。

 まず、24時間心電図検査では、294人中8人(2.7%)で心房細動が検出された。8人のうち、7人はAliveCorTM heart monitorでも心房細動が検出された。次に、AliveCorTM heart monitor検査では294人中25人(8.5%)で心房細動が検出され、いずれも医療スタッフにより心房細動と確認された。24時間心電図では25人のうち7人しか心房細動は検出されなかった。つまり、24時間心電図検査では確認できなかった心房細動が、AliveCorTMheart monitor検査では確認され、その全てが医療スタッフにより心房細動と認められたのだ。

 今回の研究結果について、研究グループは「病院や地域医療において、スマートフォンによる心房細動モニタリングは、従来の24時間心電図検査を補う現実的な検査になるだろう」と主張している。

(あなたの健康百科編集部)