2019年01月04日 公開

高齢者には運動+アスタキサンチンの組み合わせがよい?

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 サルコペニアとは、加齢によって全身の筋肉の量や働きが低下していく状態を指す。サルコペニアの進行を抑え、回復させる方法として広く認められているものは運動のみだ。それでは、運動にサプリメントを追加すると、どのような効果が期待できるのか。米国・ワシントン大学のSophia Z. Liu氏らは、高齢者を対象とした試験を行い、運動とアスタキサンチンの摂取を組み合わせで、運動のみの場合に比べて筋量、持久力、筋肉の機能がより向上することを明らかにした。詳細は「Journal of Cochexia, Sacropenia and Muscle」( 2018; 9: 826-833.)に掲載されている。

抗炎症作用、抗酸化作用の両者を併せ持つアスタキサンチン

 近年、サプリメントの摂取によって、従来の運動では得られない効果がみられたという報告が相次いでいる。そうした報告の中で、例えば、抗炎症作用を持つサプリメントは筋力の強化を、抗酸化作用を持つサプリメントは持久力の向上をもたらすことが示された。そこで、Liuらは、両方の作用を併せ持つアスタキサンチンに注目。アスタキサンチンと運動の組み合わせによる効果を検証した。

アスタキサンチン含有のサプリメント摂取 4週間後から運動を12週間並行

 対象は、65歳から85歳の高齢者42例。アスタキサンチンを含むサプリメント(アスタキサンチン12mg/日、α-トコトリエノール10mg/日、亜鉛6mg/日)を摂取するグループ(アスタキサンチン群)23例とプラセボを摂取するグループ(プラセボ群)19例に分け、それぞれ16週間摂取させた。サプリメント摂取開始から4週間後からは、両群とも週3回の運動を行った(12週間)。運動は持久力向上を図るトレーニングに回復のための運動(回復運動)を組み合わせたもの。12週間の運動期間を3期に分け、負荷を重くしていった。

 試験前後には右足首の筋量測定をMRIで、ならびに右足首背屈による最大随意収縮率の測定を特注の装置で行った。

アスタキサンチン群でより優れた運動効果

 12週の運動の結果、アスタキサンチン群、プラセボ群ともに運動時間は増加し、回復運動に要する時間は減少した。また、6分間の歩行距離は両群とも増加した。

 両群の結果を比較すると、運動時間の増加率、回復運動時間の減少率はアスタキサンチン群のほうがより高かった。

 また、トレーニング前後における筋量の比較を見ると、右足首の筋量、右足首背屈による最大随意収縮率ともに、アスタキサンチン群でのみ明らかな増加が認められた。

 筋肉接合部における神経伝達は、酸化ストレスや加齢により退化する。アスタキサンチン摂取による抗酸化作用が、加齢によって衰えた筋肉を賦活し、筋力を増強したのではないかと、Liuらは推察する。

 今回、運動とアスタキサンチン含有のサプリメント摂取を追加すると、運動のみの場合に比べて、高齢者の筋力と前脛骨筋の筋量を増加させ、持久力と歩行距離を延長させることが明らかにされた。さらに、アスタキサンチン摂取によるメリットが、運動による効果を犠牲にすることなく示されたことから、運動とサプリメントの併用が、サルコペニアの高齢者において持久力、筋力を向上させ、低下した運動機能の改善が期待されるという。

 同研究は、アスタリール/AstaMedの支援下にて行われた。

(あなたの健康百科編集部)