2019年01月31日 公開

がんの終末期患者の約3割に「痛み」や「苦痛」

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 日本人の3人に1人はがんで亡くなる。国内のがんによる死亡者数は年間約38万人だが、約3割が亡くなる前の1カ月間、痛みや身体の苦痛を抱えていたことが、国立がん研究センターの調査で分かった。患者の遺族を対象にがんの終末期について調査したもので、痛みに対する緩和ケアの普及や質の向上が強く求められる結果となった。

亡くなる1週間前は、約半数に痛み

 調査は、全国のがん患者などの遺族を対象に、患者が亡くなる前に受けた医療や苦痛、療養状況を把握するため、2018年2~3月に聞き取りを行ったもの。がん患者に関しては3,204人にアンケートを配布し、1,630人から有効回答(回答率51%)を得た。

 調査の結果、亡くなる前の1カ月間を「痛みが少なく過ごせたか」と聞いたところ、25%が「そう思わない」(「全く思わない」「思わない」「あまり思わない」を合算)と回答した。特に亡くなる1週間前の時点では、28%が強い痛みを抱えており(「とてもひどい」「ひどい」と回答)、「まあまあひどい」を加えると、47%が痛みを感じていたことが分かった。

医療者の苦痛への対応に8割が満足

 さらに、「身体の苦痛が少なく過ごせたか」との質問には、30%が「そう思わない」(「全く思わない」「思わない」「あまり思わない」を合算)と答えた。

 がん対策基本法が策定され、がん患者への苦痛緩和が推進されてきたものの、同センターでは「いまだ半数程度のがん患者が苦痛を抱えており、治療やケアの質の改善が必要であることが示唆された」と結論づけている。

 一方、84%の遺族が、患者の苦痛症状に医療者が速やかに対応した(「非常に思う」「思う」「やや思う」を合算)と回答した。また、亡くなった場所の医療に対する患者の満足度については、76%が「満足」(「非常に満足」「満足」「やや満足」を合算)と答えた。同センターでは「比較的、満足度は高かったが、残り2割の医療の質を改善するための対策を検討する必要があることが示唆された」としている。

4割の遺族が介護に負担感、死別後にうつ病も

 調査では、介護に関する遺族の負担感についても聞いており、42%が負担と感じていた(「とても思う」「思う」「やや思う」を合算)。また、患者の死亡後に抑うつ等の精神的な負担を抱えている人が17%おり、家族の介護負担やその後の精神的な負担が強いことが示された。

 今回の調査は予備調査と位置付けられており、同センターは2019年に本格的な調査を行う予定。予備調査と同様の集計に加えて、死亡場所や都道府県別の集計も実施する計画という。

(あなたの健康百科編集部)