2019年02月14日 公開

喫煙は認知症に有益か有害か

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 がん、脳卒中、心臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・・・ありとあらゆる疾患の原因とされ、健康にとって"絶対悪"の地位を不動にしている喫煙。しかし、一服の紫煙に心の安らぎを感じる愛煙家の中には、「悪いことばかりじゃないはず」と心密かに反発している向きもあるかもしれない。そんなとき、「喫煙は認知症に有益」と言われたら、さぞかし溜飲が下がることだろう。最近、一部週刊誌でも取り上げられたこの情報の真偽を調べてみた。

最近の研究は「喫煙は認知症に有害」で一致

 愛煙家にとっては残念な結論だが、医学界主流の見解は「喫煙は認知症に有害」。日本禁煙学会は、喫煙でアルツハイマー病を予防できるとした週刊誌の記事を非難する声明を発表している。

  確かに、ニコチンに認知症を予防する効果があるとする研究はあるが、おもに動物実験に基づくもの。ヒトを対象にした最近の研究は、いずれも真逆の結果を示している。

 例えば、福岡県久山町の住民を対象とした研究によると、中年期から老年期まで喫煙を続けると、禁煙を続けた場合に比べ、アルツハイマー病のリスクは2倍、脳血管性認知症のリスクは2.9倍に高まることが示されている。久山町研究は日本を代表する疫学研究である。

 昨年発表された韓国の大規模調査でも同様だ。4万6,000例あまりを8年間にわたって追跡調査したものだが、喫煙を継続した人に比べ、禁煙を4年以上継続した人では認知症のリスクが14%低く、脳血管性認知症に限るとリスクが32%低下していた。

 喫煙にメンタル面の効用があるとしても、だから「神経系の病気の予防にも有効なのでは」と考えるのは拡大解釈と言えそうだ。

 (あなたの健康百科編集部)