2019年02月19日 公開

赤ちゃんが横顔を「顔」と認識する能力、その発達は遅いが速い

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 通りすがりの赤ちゃんから注がれる熱視線。誰しも1度や2度は経験したことがあるだろう。まだ十分に視力が発達していない時期から、赤ちゃんは人の顔に興味津々である。中央大学と生理学研究所の研究によると、彼らは遅くとも生後5カ月までに正面向きの顔を、8カ月ごろに横顔を「顔」と認識するという(Human Brain Mapping 2009; 30: 462-472)。では、形も構成も全く異なる両者を認識する能力の発達には違いがあるのだろうか。中央大学と東京理科大学、愛媛県立医療技術大学、東京大学、日本女子大学、生理学研究所の共同研究で、横顔を顔と認識する能力は正面顔に比べ発達時期は遅いが、獲得するスピードは速いことが明らかになった(NeuroImage 2019年2月1日オンライン版)。

顔を見る能力の個人差は生後8カ月には小さくなる

 研究グループが用いたのは、近赤外分光法による脳血流計。目にしたものを赤ちゃんが「顔」と認識したときの血流反応を計測する方法で、安全であることに加え身体拘束の必要がないため、赤ちゃんの脳活動の研究に広く採用されている。生後3カ月の赤ちゃん14人(男児11人、女児3人)を対象に、野菜と正面顔および横顔の写真を交互に見せたときの反応を、月1回生後8カ月まで計測した。

 その結果、生後3カ月の時点では横顔を顔と認識する能力は見られなかったが、生後5カ月半ごろからその能力が現れ、8カ月まで発達を続けることが認められた。また14 人中 11 人の赤ちゃんでは、横顔を見る力の発達スピードが正面顔のそれより速かった。正面顔、横顔ともに赤ちゃんの顔を見る力の発達には個人差が見られたが、生後 3 カ月時点における顔の認識能力が低い赤ちゃんほど能力の獲得が速く、生後 8 カ月に向け個人差は小さくなることも示された。

 赤ちゃんは生まれついての興味から遠慮なく人の顔を見つめてくるが、横顔を顔と認識し慣れ親しんだ顔とそうでない顔の区別がつくころ、人見知りをし始める。つまり顔の認識は、社会性獲得の第一歩といえる。研究グループでは、顔の認識能力と発達プロセスの解明は、ヒトの社会性がどのように育まれるかの理解につながると考えている。

(あなたの健康百科編集部)