2019年02月28日 公開

存在感を増す健康食品市場 消費者庁はどう見ているか

日本抗加齢協会 第3回学術フォーラム
今後の健康食品を考える

※画像はイメージです

 機能性表示食品制度は、「加工食品及び農林水産物について、事業者の責任で科学的根拠をもとに機能性を表示できる制度」として2015年4月にスタートした。日本抗加齢協会第3回学術フォーラムのシンポジウム「今後の健康食品を考える」に登壇した消費者庁食品表示企画課の赤﨑暢彦氏は、開始後4年となる機能性表示食品制度の現在の運用状況や消費者庁の取り組みについて解説し、消費者に対しては栄養成分を活用して食品の選択をするよう求めた。

この記事のポイント
機能性表示食品は保健機能食品の"いいとこ取り"
消費者における存在感が増す市場
消費者は栄養成分表示を活用して食品の選択を

 

機能性表示食品は保健機能食品の"いいとこ取り"

 保健機能食品とは、機能性表示として健康の維持・増進をうたうことができる食品のことで、「特定保健用食品(トクホ)」「機能性表示食品」「栄養機能食品」の3つに分類される(図1)。

図1. 食品の機能性表示制度


(赤﨑暢彦氏提供)

 「特定保健用食品」は、事業者が申請を行い、消費者庁による個別審査を受けて「特定の保健の目的が期待できる旨の表示」の許可を受けたもの。例えば、「おなかの調子を整える」といった表示が可能となるが、許可を得るためにはヒトでの試験が必要なため、それなりの時間と費用を要する。

 「栄養機能食品」は、許可・届出が不要だ。しかし、表示できるのは「カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です。」などの定型文のみ。商品固有の訴えはできない。

 2015年より開始された「機能性表示食品」は、「保健機能食品の"いいとこ取り"をした制度だ」と、赤﨑氏は言う。販売前に届出が必要だが、マーケットに出た後は事後検証との両輪で制度を運用するという、行政的にはあまり例を見ない制度だという。届出制であるため、「特定保健用食品」に比べれば時間や費用があまりかからない。一方で、科学的根拠に基づいていれば「睡眠の質の向上に役立つ」といった機能を容器包装に表示できる。

 機能表示にかかる行程が簡素化され、コストが抑えられるといった事業者におけるメリットは、機能性食品市場活性化の火種となることが予想される。

 

消費者の間にも存在感が増す市場

 「機能性表示食品市場は消費者の間で存在感のある制度になっている」と赤﨑氏は述べる。「機能性表示食品」の届出公表件数は約1,500件(取材時点)。対する特定保健用食品の件数が1,000件程度だ。

 機能性表示食品の全届出のうち、22件は生鮮食品。みかん、もやしは以前から複数の届出があったが、最近では米、カンパチ(魚)、トマト、唐辛子などもある。また、お茶や飲料(ジュース)など分類上は加工食品であるが、生鮮食品に近いものもある。そして、届出の半数以上を占めるのが、その他の加工食品で、そこに含まれるのは、サプリメント形状のものや、お菓子など、さまざまだ。

 機能性関与成分(特定の保健の目的に資する成分)は、最新のエビデンスに伴いアップデートしている。最近では、アンペロプシン・キトサンは健常な範囲で尿酸値が高めの男性において尿酸値を下げるとして、「尿酸」という新たな領域が追加された。

 

消費者自らが栄養成分表示を活用して食品の選択を

 消費者は、機能性表示を通じて、機能性表示食品をはじめとする保健機能食品の特徴を理解する。しかし、細かい字で記載された説明を吟味する消費者はどれくらいいるだろうかと赤﨑氏は指摘する。同氏が消費者に望むのは、機能性表示食品に限らず、食品表示に対するリテラシーを高めて、それらを食品選択の場で役立てることだ。

 そのツールとして期待されるのが、栄養表示成分だ。食品表示法により、2019年度末までに一般用加工食品への栄養成分表示が全面義務化されることとなっている。

 栄養成分表に記載されたエネルギーや食塩相当量などを参考に、消費者自らが適切な食品を選択する。消費者が栄養成分への理解を深め、保健機能食品の利点を知り、健康維持に役立てる。この好循環が築かれることを目的に、現在は徳島県内において、栄養成分表示の活用などに関する教育プログラムを実施している。今後、全国的に展開していく予定だという。

 講演の最後に、赤﨑氏は消費者庁による取り組みを総括し、「『機能性表示食品制度』は開始してわずか4年弱。世間の注目は高いものの、発展途上の制度である。今後も消費者や関連業界の意見を取り入れながら、より良いものとなるよう運用していきたい」と述べた。

(あなたの健康百科編集部)