2019年03月01日 公開

幼い子ほど親の離婚がメンタルに及ぼす影響は大きい

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 この数十年で世界的に離婚はタブーだという意識は薄れてきており、離婚率の高い国が増えた。しかし、両親の離婚で不利益を被ることが多い子どもについて、将来の健康や幸福(well-being)を調査した研究は少ない。ノルウェー公衆衛生研究所(NIPH)/University of OsloのØystein Kravdal氏らは、両親の離婚時の年齢が子どもの成人期の抑うつリスクと関連している可能性が示唆されたと、人口統計学に関する学術誌Populations Studies2019; 73: 37-56)に報告した。

親の離婚を経験した年齢と成人後のメンタルヘルスとの関連を検討

 今回の研究対象となったノルウェーの2014年の粗離婚率は、41.3%に上る。一方、日本は35.3%(2015年)で、厚生労働省の人口動態統計によると、日本の昨年(2018年)の離婚件数は20万7,000組。婚姻率が低下している影響を受けてピーク時より減ってはいるものの、まだ年間20万件を超えており、日本も世界と同じように婚姻制度の変化の最中にある。

ある一定期間における婚姻率に対する離婚率の割合

 Kravdal氏らは、ノルウェーの調剤や処方に関するデータベースから、親の離婚を経験した子ども18万人と経験がない子ども64万人のデータをピックアップ。2004~08年に抗うつ薬の処方を受けた20~44歳の成人を特定して、両親の離婚と子どもの将来のメンタルヘルス(抗うつ薬の使用の有無で判断)との関連を検討した。離婚には両親の資産や性格、家庭環境など多くの要因が複雑に関連するため、見落とされがちな因子を考慮できるSibling modelsという方法を使って解析した。

 2004年時点の年齢、性、生まれ順を補正して解析した結果、両親が離婚したときに4歳未満だった子どもと比べ、15~19歳だった子どもでは将来の抗うつ薬使用リスクが12%低かった。さらに20歳を超えていた場合はリスクが19%低かった。こうした親の離婚時の年齢と成人後の抗うつ薬使用との関連は、女の子で母親の学歴が低いケースでのみ明確だった。

離婚の先延ばしがよいとは限らない

 今回の結果について、Kravdal氏は「夫婦や親子などのパートナー関係を解消したこと自体が、メンタルヘルスに与える影響を推定するのはとても難しい。夫婦・家族関係が悲惨な状態にある場合、離婚・離別は両親と子どもの両方に良い影響をもたらすかもしれない。研究結果は、幼少期に両親の離婚を経験した子どもには特別な注意を払う必要があることを示唆している。しかし、より具体的なアドバイスを行うには、さらに多くの研究で幼少期の親の離婚が子どもたちのメンタルヘルスにとって有害である理由を解明する必要がある」と指摘。

 「重要なのは、今回の結果から子どもが大きくなるまで離婚を先延ばしした方がよいと結論してはいけないということだ。例えば、両親が離婚を考えた時点で10歳と15歳の兄弟がいて、離婚を5年先延ばしした場合、結果がどのように変わるかは予測できない。5年の遅れは両親が不仲な家庭環境で生活する期間を長引かせ、かえって悪い影響を与えるかもしれないし、5年後に15歳になった弟は比較の対象となる15歳時の兄と同じ状況にはないからだ」と注意を促している。

(あなたの健康百科編集部)

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