2019年04月16日 公開

人気ユーチューバーが小児の不健康な食行動に影響?

 YouTubeやInstagramなどのソーシャルメディアネットワーキングサービス(SNS)で大きな影響力を持つ"インフルエンサー"を介した食品のプロモーションは、小児の食行動に一定の影響を与えることが英国の小児を対象とした研究で示された。不健康な食品(チョコレート菓子など)を手にした人気ユーチューバーの画像を閲覧した小児では、総カロリー摂取量や不健康な菓子類の摂取量が増えたという。英国・リバプール大学の研究者がPediatrics(2019年3月4日オンライン版)に報告した。

英国の人気ユーチューバーが協力

 多くのSNSは利用者の年齢制限を設けているにもかかわらず、英国では8~11歳の半数以上がInstagramを利用し、5~15歳の80%超がYouTubeを視聴していることが報告されている。そこで研究者は今回、SNSを介したインフルエンサー・マーケティングが小児の食行動に及ぼす影響について調べた。

 対象は、英国の学校で登録された9~11歳の小児176例(女児105例、平均年齢10.5±0.7歳)。人気ユーチューバー(インフルエンサー)のInstagramのプロフィール画面で、①不健康なおやつ(チョコレートクッキーなど)を手にした画像を見せる群(不健康群、58例)②健康的なおやつ(バナナなど)を手にした画像を見せる群(健康群、59例)③食品以外の製品(スニーカーなど)を手にした画像を見せる群(対照群、59例)−に分けた。

 なお、研究にインフルエンサーとして協力したのは女性(26歳)と男性(23歳)の人気ユーチューバーで、YouTubeでの登録者数は女性が約1,210万人、男性は約410万人、Instagramでのフォロワー数も同程度だという。

総カロリー摂取量も不健康なおやつの摂取量も増加

 今回の研究では、全ての小児にいずれかのInstagramのプロフィール画像をパソコンの画面で1分間見せた後、4種類のおやつ(低カロリーで健康的なニンジンスティックと種なしブドウ、高カロリーで不健康なグミとチョコレート菓子)を渡し、10分間、好きなだけ食べてよいと伝えた。10分後には残った各種おやつの量を測定した。

 その結果、不健康群の総カロリー摂取量(448.3kcal)は、対照群(357.1kcal)と比べて26%高く、健康群(388.9kcal)より15%高かった。また不健康群では、不健康なおやつの摂取量(384.8kcal)も対照群(292.2kcal)と比べて32%高く、健康群(319.51kcal)より20%高かった。一方、健康群と対照群の間には、総カロリー摂取量や不健康なおやつの摂取量の差は認められなかった。

 この結果から、研究者は「小児にはデジタルメディアを利用する権利がある一方で、健康が守られる権利もある」と指摘した上で、「新しいタイプのデジタルマーケティング、なかでも小児が接する機会の多いSNSを利用した食品マーケティングには、それに対応した規制が必要だ」と結論付けた。ただし、「適切な規制の策定に必要な情報を得るためには、さらなる研究が必要だ」とも見ている。

(あなたの健康百科編集部)