2019年04月29日 公開

低所得や健康・発達の問題が就園のネックに

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 2015年の子どもの貧困率は13.9%であり、海外だけでなく日本でも子どもの貧困が問題となっている。貧困の連鎖を断つカギとして、米国では質の高い幼児教育が注目されているという。北里大学医学部公衆衛生学教室の研究グループが保育園や幼稚園などに通っていない子どもの状況について調査したところ、低所得や多子、親が外国籍など社会経済的に不利な家庭環境の子どもや、発達や健康の問題を抱えた子どもが目立つことが明らかになった。研究の詳細は、3月23日発行の医学誌「Journal of Epidemiology」(電子版)に掲載されている。

調査対象は2001年、2010年に生まれた4万人超 

 米国で行われた研究によると、質の高い幼児教育は長期的に見ると経済的効果が高くなるという。日本では、3歳児の8.9%、4歳児の2.7%、5歳児の1.9%が保育園・幼稚園・認定こども園のいずれにも通っていない「未就園」と推計されている(2017年度)。しかし、どのような背景の子どもたちが未就園なのかを調査した研究はない。 

 そこで研究グループは、厚生労働省が全国規模で実施している「21世紀出生児縦断調査」に参加した子どものうち、2001年生まれの1万7,019人、2010年生まれの2万4,333人を対象に、3、4歳時点で保育園や幼稚園などに通っていない要因について、家庭の社会経済的状況と子どもの健康・発達に着目して分析した。 

 その結果、3歳で未就園の子どもは、2001年生まれで18%、2010年生まれでは8%だった。4歳で未就園の子どもは、2001年生まれで5%だった。 

低所得、多子、親が外国籍が障壁に 

 未就園の要因として、社会経済的には、低所得家庭であること、兄弟(姉妹)が3人以上、親が外国籍であること―が挙げられた。子どもの健康や発達に関しては、早産、先天性疾患、発達の遅れ―が指摘された。こうした傾向は、両年代の子どもで共通していた。 

 また、2010年生まれの子どもについて未就園の理由を尋ねたところ、低所得家庭の場合には経済的理由と回答した割合が高く、保育園や幼稚園などが不要とする割合は低かった。 

 研究グループは、低所得家庭で未就園児が多かった点について、「保育料は世帯収入に比例するため、課外活動費や給食費といった保育料以外の費用が負担になっている可能性がある」と指摘。「自治体は未就園児の状況を把握し、さまざまな障壁を取り除く努力をすべきだ」とコメントした。さらに、健康や発達に問題を抱えている未就園児については、「障害児保育を充実させるべきではないか」との考えを示した。

(あなたの健康百科編集部)