2019年05月14日 公開

インフォームド・コンセントを漫画化したら...

患者の理解力に関する研究

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 手術や心臓カテーテル検査といった医療行為の前に、医療者が患者に内容を分かりやすく説明し、同意を得るとされるインフォームド・コンセント。しかし患者の多くは理解するよりも、あまりに複雑な内容に圧倒されるという。患者が理解しやすいインフォームド・コンセントについて検討したドイツ・フンボルト大学シャリテ病院循環器科のAnna Brand氏らは、インフォームド・コンセントを受けた後でその内容を漫画にまとめた小冊子を提供すると、患者の理解度が高まり不安感が減ることが分かったと報告した(Ann Intern Med 2019年4月9日オンライン版)。

百聞は一見にしかず

 カテーテルによる検査や治療を受ける心臓病患者に対し、医師がその手順やリスク・ベネフィットを説明するインフォームド・コンセントを行っても、基本的な内容でさえ理解されていないケースが多いことが分かっている。

 インフォームド・コンセントをどのように工夫したら、患者に理解してもらえるのか。悩んだBrand氏らは、"A picture is worth a thousand words(1枚の絵は1,000語に匹敵する、日本のことわざでは「百聞は一見にしかず」と似ている )"という言葉をヒントに、複雑な心臓カテーテル検査や治療を漫画化することを思いついたという。

理解に関する質問13項目中12項目で正解

 今回、Brand氏らは従来のインフォームド・コンセントと比べて漫画形式の小冊子を用いた方法が患者の理解に有効かどうかを検討した。
対象は、2016年10月~18年1月に心臓カテーテル検査のため同大学病院に入院した患者のうち121例。①医師による従来の標準的なインフォームド・コンセントを行う標準IC群②標準的なインフォームド・コンセントを行った後に、その内容を漫画にまとめた小冊子を渡す漫画IC群―にランダムに割り付けた。質問票や不安を測る尺度を使って、患者の理解度、インフォームド・コンセント前後の不安感の変化、患者満足度などを評価した。

 検討の結果、理解度に関する13項目の質問の正解数は標準IC群の平均9項目に対し、漫画IC群では平均12項目と、理解度が向上し不安レベルは下がっていた。また、インフォームド・コンセントへの満足度は標準IC群の41%に対し、漫画IC群では72%と高かった。

 同氏らによると、複雑な情報を漫画形式で伝えるメリットは、文字とイラストの同時学習で理解力が高まることに加えて、自身の理解の速度に応じて学習できることにあるという。今回の結果について「インフォームド・コンセントにおいて、従来の方法に漫画小冊子を併用する方法が極めて効果的であることがわれわれの研究で示された」とコメントしている。

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