2019年05月24日 公開

「痛み止め」で薬物依存に!?

最新米映画に見る克服の難しさ

(『ベン・イズ・バック』Ⓒ2018- BBP WEST BIB, LLC)

 本日(5月24日)から全国ロードショーされる米映画『ベン・イズ・バック』。怪我の治療で鎮痛剤を過量投与され、やがて薬物依存に陥ってしまった青年ベン・バーンズと、彼を時に厳しく時に優しく見守る母親のホリーを中心に描く家族の絆の物語だ。薬物依存というと、覚醒剤や大麻などの違法薬物を思い浮かべがちだが、実は医師から処方された薬剤によるものもあり、欧米で社会問題になっている。本作は、物語の主題である家族愛の素晴らしさはもちろんだが、鎮痛剤依存の怖さと克服の難しさをリアルに描き出している点も見所の1つだ。

鎮痛剤による依存、死亡者は4倍に

 本作の主人公ベンは、かつてスノーボードによる事故で負傷し、治療中に医師から鎮痛剤を過量投与されたことで薬物依存に陥ってしまう。人生の歯車が大きく狂ってしまったベンとその家族の苦悩と葛藤が次第に浮き彫りになっていく--。

  日本では一般にあまり知られていないが、睡眠薬や鎮痛剤などの薬剤による薬物依存が欧米では社会問題化している(関連記事)。これは、医師からの処方薬を適正に服用しなかったり、医療現場で過量投与されてしまったりすることによるものだ。本作では鎮痛剤の種類には言及していないが、モルヒネやメサドンなどオピオイドと総称される鎮痛剤は、米国で1999年以降、処方量が急増し、依存症による死亡者が約4倍になったと報告されている1)

リアルに描かれる薬物依存の実態、日本も対岸の火事ではない!?

 本作では、薬物依存の治療施設から社会に戻ったベンを、世間からの冷たい視線と本人の薬物への渇望が待ち受ける。そうしたベンの姿を通して、薬物依存を完全に克服することは容易でないことがリアルに伝わってくる。リアリティのベースにあるのは、薬物依存症の人が近親に複数いたというピーター・ヘッジズ監督自身の実体験だ。

 そして、薬剤による薬物依存の問題は、日本も決して対岸の火事では済まされないかもしれない。なぜなら、超高齢社会を迎え、がん患者やサバイバーの増加に伴うオピオイド鎮痛剤の使用の増加が懸念する声があるからだ。

 本作は、家族の絆を描いた物語である一方、薬物依存を取り巻く社会の在り方についても問題提起する作品に仕上がっている。

映画『ベン・イズ・バック』
5月24日(金)TOHOシネマズ シャンテ他、全国ロードショー

 
監督・製作・脚本/ピーター・ヘッジズ
出演/ジュリア・ロバーツ、ルーカス・ヘッジズ
原題/Ben Is Back
製作年/2018年
制作国/アメリカ
上映時間/103分
配給/東和ピクチャーズ
Ⓒ2018- BBP WEST BIB, LLC
公式サイト:benisback.jp
公式Twitter:@Benisback_JP
公式FB:http://www.facebook.com/BenisbackMovie.JP

1)『AMA: Effective pain management with prevention of prescription drug abuse』(Ardis D. Hoven, August 14, 2013)

あなたの健康百科編集部