2019年06月05日 公開

発見!ショ糖摂取後の血糖値上昇を防ぐ乳酸菌

腸球菌YM0831株の電子顕微鏡像

 2型糖尿病は、代表的な現代病の1つである。発症の要因には、さまざまな食品に甘味料として含まれているショ糖の過剰摂取による血糖値上昇が挙げられている。そこで、帝京大学医真菌研究センター教授の関水和久氏らの研究グループは、カイコを使ってショ糖摂取後の血糖値上昇を抑制する物質を見つける実験を行い、乳酸菌の一種「腸球菌YM0831株」を発見。成果をCommun Biol2019; 2: 157)に発表した。食後高血糖を予防する食品開発への応用に期待が集まっている。

カイコの血糖値上昇を抑制する乳酸菌を発見

 経口摂取したショ糖は、腸管内でαグルコシダーゼという酵素によってグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に分解され、腸管から吸収されて血液に入り血糖値が上昇する。そのため、αグルコシダーゼの働きを防いだり、グルコースの腸管吸収を妨げたりする作用を持つ物質を食品に加えることで、ショ糖の過剰摂取による食後の血糖値上昇が抑制できると考えらえている。これまで、マウス実験などで血糖の上昇を抑制する乳酸菌が存在することは知られていたが、ヒトでも同じ効果があるかは明らかでなかった。そこで、関水氏らは、株式会社ゲノム創薬研究所と協同でカイコを使った実験により機能性乳酸菌の探索を行い、ショ糖摂取後の血糖値の上昇を抑制する高い作用を持つ乳酸菌として、腸球菌YM0831株を発見した。

 さらに、腸球菌YM0831株には、グルコース摂取後のカイコの体液中グルコース濃度上昇を抑える効果があり、ヒトの腸管から培養したCaco-2細胞のグルコース取り込みも阻害することが分かった。ヒトの腸管細胞のグルコース取り込みを阻害する働きを持つ乳酸菌は、初めて報告されたという。

ヒトにも同様の効果があり、食品開発への応用にも期待

 そして、研究グループと株式会社ファルマシュプールが行ったヒト臨床試験では、腸球菌YM0831株のショ糖摂取後の血糖値上昇を防ぐ性質が確認され、同株を利用して製造されたヨーグルトにも、ショ糖摂取後の血糖値上昇を抑制する性質があることが分かった。同株は血糖値の上昇を抑える食品の開発に有用と期待され、実用化を目指した研究開発試験が行われているという。

(あなたの健康百科編集部)