2019年06月17日 公開

地中海食は好きなだけ食べても太らない?

 西洋食※1よりも地中海食※2の方が、満足するまで食べても体重は増加しないことを示した霊長類による研究の結果を、米国・ウェイクフォレスト大学の研究者がObesity(2019; 27: 777-784)に発表した。カニクイザルを用いたこの研究では、地中海食を与えられた群と比べて西洋食を与えられた群においてカロリー摂取量や体重の増加、体脂肪率の上昇などが認められたという。

38カ月の試験期間はヒトの9年間に相当

 研究者によると、この研究は地中海食または西洋食を長期間食べることが肥満に与える影響を霊長類で比較検討した初めてのもの。これまでにも、食事のタイプの違いがエネルギー摂取に与える影響を調査する数多くの研究が行われてきたが、そのほとんどは信頼性があまり高くない自己報告データに基づいたヒトを対象としたものか、ヒトが一般的に摂取するタイプの食事とは異なる食餌を齧歯類に与えて検討したものだったという。

 今回の対象は雌の中年期のカニクイザル38頭。蛋白質や脂質を主に動物由来の食品から摂取する西洋食群と、主に植物由来の食品から摂取する地中海食群のいずれかにランダムに割り付けた。食餌に含まれる脂質、蛋白質、炭水化物の構成比は西洋食と地中海食で同程度とした。なお、試験を行った38カ月間はヒトでは約9年間に相当するという。

多めに食べてもBMIを維持

 検討の結果、試験を開始した時点ではBMIや体脂肪率、体重に両群で差がなかったが、試験期間中にはいずれも地中海食群と比べて西洋食群で有意に上昇していた。また、西洋食群では地中海食群と比べて試験期間の前半(3~6カ月)の体重1kg当たりのカロリー摂取量が多かったが、それ以外の期間ではカロリー摂取量は増えていなかった。

 西洋食群では、試験期間の後半(27〜30カ月)で前半と比べて有意にカロリー摂取量が少なかったが、増加したBMIは維持されていた。一方、地中海食群では後半でカロリー摂取量が多かったが、BMIは試験開始時とほぼ同じレベルを維持していた。

 さらに、研究開始から30カ月後の時点では、地中海食群と比べて西洋食群で体脂肪率の上昇、活動量やエネルギー消費量の増加が認められ、インスリン抵抗性や脂肪肝(CTスキャンで測定した脂肪沈着量)も増加していた。一方、地中海食群では西洋食群と比べて中性脂肪の低下が認められた。

脂肪肝も予防

 研究者は「地中海食群では与えられた食餌を全て食べ切ることはなく、適正体重が維持されていたのに対し、西洋食群では必要な量をはるかに超える餌を食べ、体重が増加していた」と説明。また、「霊長類の実験に基づき、西洋食と比べて地中海食は脂肪肝の予防に優れていることを示した初のエビデンスが得られた」としている。

 さらに、「西洋食は企業が開発し、販売する食品で構成されており、その多くは消費者がつい食べ過ぎてしまうような製品に加工がなされている。それに対し、地中海食では食事を楽しみながらも、米国で問題となっているような食べ過ぎには結び付かないものと考えられる」と指摘。その上で、「今回の研究結果をきっかけに、食べる喜びを味わえる健康的な食品を摂取する習慣が広がってほしい」と期待を寄せている。

  • ※1米国女性(40〜49歳)が一般的に摂取する食事〔蛋白質と脂質は主に動物由来、飽和脂肪酸とナトリウム(Na)量が多く、一価不飽和脂肪酸(MUFA)とω-3脂肪酸が少ない〕
  • ※2豆類、ナッツ、野菜、魚が中心の食事(蛋白質と脂質は主に植物由来、Naと精製糖が少なく、MUFAが多い)

(あなたの健康百科編集部)