2019年07月19日 公開

幼稚園時代の行動で将来の収入が分かる!?

 子供にはお金に苦労してほしくない―。多くの親がそう思うのではないか。カナダなどの研究グループにより、子供時代の行動から将来の収入が推察できるという興味深い研究結果が報告された。2,800人超の幼稚園児を約30年にわたって観察したデータを解析したところ、幼稚園のころに集中力に欠け、大人から「不注意」と評価された子供は、将来的に年収が低くなる傾向にあることが分かったという。詳細は、JAMA Psychiatry2019年6月19日オンライン版)に掲載されている。

男女2,850人を解析

 研究グループは、1980年と1981年生まれの子供を1985~2015年まで観察し、幼稚園時代の行動と約30年後の年収との関連を調べた。幼稚園時代の行動には、5、6歳のときに幼稚園教諭から評価されたデータを用いた。年収は、その子供が33~35歳になった2013~15年の納税申告書で確認。知能指数(IQ)と家族の状況による偏りを調整した上で解析を行った。

 幼稚園時代の子供の行動に関する評価内容は、①不注意(集中力の欠如、空想にふけりがちなどの4項目)②多動(常に動き回るなどの2項目)③攻撃性(けんかなどの3項目)④反抗(言うことを聞かないなどの5項目)⑤不安(新しい環境を怖がるなどの3項目)⑥向社会性(けんかを止める、けがをした子を助けるなどの10項目)―の6種類。各項目について、「全くない」を0、「時々ある」を1、「しばしばある」を2として3段階で評価した。

 解析の対象となったのは、2,850人(平均年齢35.9歳)で、そのうち男性が1,470人(51.6%)だった。調査時の平均年収は、男性が3万3,300米ドル(1ドル108円換算で約360万円)、女性が1万9,400米ドル(約210万円)だった。

男児は攻撃性や反抗、向社会性と年収が関連

 5、6歳時の不注意に関する評価スコアは、男性が平均で2.47、女性が平均で1.67。スコアが1上昇するごとに、年収は男性で1,271.49米ドル(約14万円)、女性で924.25米ドル(約10万円)減少した。

 攻撃性と反抗の混合では、スコアの1上昇が、男性で699.83米ドル(約8万円)の収入減と関連していた。この額は不注意のケースの約半分に相当する。一方、女性ではこうした関連は認められなかった。

 向社会性の評価スコアは、男性が平均で6.12、女性が平均で7.90。スコアが1上昇するごとに、男性では年収が476.75米ドル(約5万円)増えた。

 以上から、幼稚園時代の行動評価は、個人のIQや家族背景にかかわらず、30年後の収入と関連することが示された。特に男児では、不注意、攻撃性および反抗が低い年収と、向社会性が高い年収と関連した。一方、女児では収入の予測因子となる行動は不注意のみだった。

 ただし、研究の限界もある。研究グループは①納税申告書に記載されない収入については考慮していないこと②本研究では因果関係は証明できないこと③人生の中で起こったさまざまな出来事の影響を受けた可能性がある―などを挙げている。

 研究グループは「不注意な男児および女児の他、高い攻撃性および反抗を示す男児、向社会性の低い男児を早期に把握しサポートすることは、長期的に見れば子供本人にとってだけでなく、社会全体にとっても有益だろう」としている。

(あなたの健康百科編集部)