2019年07月22日 公開

メタボ予防には休暇が効く

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 じとじとした梅雨が明ければ、もうすぐ夏休み。旅行にショッピング、海やプールに出かけたり、実家に帰省したり家族でのんびり過ごしたりと、仕事や学校のストレスから解放される休暇・バカンスは、みんなが楽しみにしている。休みを取って心身ともにリフレッシュすることは、健康に良い影響を与えることが知られている。米・Syracuse UniversityのBryce Hruska氏らは、休暇中の行動がコレステロールや中性脂肪など脂質の代謝に及ぼす影響を検討。その結果、休暇の頻度はメタボリックシンドローム(メタボ)の減少と関連し、心血管疾患(心臓病や脳卒中)リスクを減らす可能性があると、医学誌 Psychology & Health2019; 17: 1-15)に発表した。

新たなツールを開発、休暇とメタボの関連を検討

 Hruska氏によると、米国ではフルタイム労働者の77%が有給休暇の権利を持っているものの、完全に行使しているのは半数以下。有給を取りにくい仕事文化は、労働者の身体的健康に悪影響を及ぼしている可能性があるという。

 肥満、高血圧、脂質異常、高血糖などの心血管疾患の危険因子が集合した状態であるメタボは世界的に蔓延し、社会問題となっている。しかし、メタボは生活習慣の改善や運動で予防・解消することができる。同氏らは「メタボと休暇との関連を示すことができれば、心血管疾患リスクを軽減する上で重要なエビデンスが提供できる」と考察。休暇の質を客観的に評価するための新たなツールを開発し、過去12カ月間に取得した休暇日数および体験した休暇エピソードの数とメタボの関連を検討した。

 チラシ、インターネット、広告を使って①18歳以上②フルタイム労働者③有給休暇の権利保有者④1カ月以内に少なくとも3日間の有給休暇取得を予定している−などの基準を満たす参加者63人(平均年齢43.3±10.3歳、女性69.8%、白人93.6%)を登録した。

 参加者は研究室を訪れ、検査(採血、胴囲・血圧の測定)と休暇に関する面接を受けた。面接では、少なくとも1日間の休暇について①休む際に有給の取得を考慮したか②有給中に副業をしたか③どのように休暇を過ごしたか(旅行に行った、自宅で過ごしたなど)−について聞き取りを行った。休暇エピソードについては、11項目(休暇の長さ、場所、経済的負担、休暇に対する肯定的な評価、仕事からどのくらい離れられたか、アルコール摂取量、睡眠習慣など)を5段階(0「全くない」〜4「極めて多い」)で評価した。

 メタボの基準は①胴囲が男性102cm以上、女性88cm以上②血圧が130/85mmHg以上③トリグリセライドが150mg/dL以上④HDLコレステロールが男性40mg/dL未満、女性50mg/dL未満⑤空腹時血糖が100mg/dL以上−のうち3つ以上に該当することとした。

休暇エピソードの数が増えるごとに、メタボのリスクが低減

 検討の結果、過去12カ月間に参加者は約5回の休暇を取得し、およそ14日間の有給休暇を取得していた。休暇エピソードを体験した場所は自宅が38.9%、自宅外が56.3%、有給休暇を過ごした場所はそれぞれ33.5%、61.7%であった。

 過去12カ月間の休暇エピソード総数とメタボの関係について分析すると、休暇エピソード数が増えるごとにメタボのリスクは24%減少することが分かった。さらに、メタボの基準を満たす確率は、休暇を取得しなかった参加者の46.7%に対し、平均的な取得者では16%、最大取得者では1.3%と低かった。対照的に、総休暇日数とメタボは関連していなかった。

 Hruska氏は今回の研究の限界として、参加者が少数で主に白人と女性であったこと、健康に問題があった参加者がより多く休暇を取得していた可能性があることなどを挙げた上で、「今回、過去12カ月間に経験した休暇エピソードの数が増えると、メタボのリスクは約4分の1に減ることが示された。その一方で、総休暇日数とメタボとの関連は見られなかった」と結論。「休暇の頻度(休暇エピソードの総数)がメタボを減らす方向に作用することで、糖尿病や心血管疾患のリスクを減らすなど身体的健康に好影響をもたらす可能性がある」と付言している。

(あなたの健康百科編集部)