2019年07月25日 公開

91歳の現役セックス・セラピスト描くドキュメント映画

映画『おしえて!ドクター・ルース』8月末公開

 今年(2019年)6月4日に91歳を迎えた現役セックス・セラピストの"ドクター・ルース"こと、ルース・K・ウエストハイマー氏。性について話すことがタブーだった1980年代の米国で、リスナーの性の悩みに答えるラジオ番組でホストを務め、現在も精力的に活動を続けている。波乱に満ちた人生を歩んできた彼女に密着したドキュメント映画『おしえて!ドクター・ルース』が、8月30日から新宿ピカデリー他で全国公開される。自分らしく生きるためのヒントにあふれた感動作を紹介する。

性の問題に翻弄される人たちに心を痛めて

 身長140cm、ドイツ語なまりの英語とチャーミングな笑顔で多くの人たちから寄せられた性の悩みに真摯に答えるドクター・ルース。1928年、ドイツに生まれた彼女は両親をホロコーストで殺害され、一時は身を守るためにスナイパーとして活動、三度の結婚を経験するなど、波瀾万丈の人生を歩んできた。

 女性が学問を究めることが異例だった時代に学習意欲を捨てず、仏・パリ大学で心理学を学んだ。三番目の夫と結婚後、米国家族計画連盟(PPFA)で働き始めたところ、正しい性教育を受けられなかったことで性の問題に翻弄される人たちを目の当たりにし、心を痛めた。その後、米・コロンビア大学などで社会学やヒューマン・セクシュアリティを専攻し、博士号(教育学)を取得。さらに、米国初のセックス・セラピストであり、性機能障害治療の発案者でもあるニューヨーク・プレスビテリアン病院のヘレン・シンガー・カプラン氏に師事し、自らもセックス・セラピストとしての道を歩むことを決意した。

性のタブーにメス入れる弱者の味方

 性にオープンと思われがちな米国だが、ドクター・ルースが開業した1980年代はまだまだ性がタブー視されていたという。そんな中、ニューヨークのラジオ局が『セクシュアリー・スピーキング』という日曜深夜のトーク番組を企画。ドクター・ルースがリスナーからの性の悩みに答える内容がたちまち人気を博した。ラジオだけでなく、あらゆるメディアに登場し、AIDSや中絶、LGBTなど、性の問題に率直かつユーモラスに斬り込み、性的弱者の味方としてアイコン的存在になっていった。

 ユダヤ人として存在そのものが否定された過去を持つドクター・ルースは、多数派がノーマル、少数派がアブノーマルと見なされるような価値観を受容しない。ノーマルという言葉を忌避し、「"ノーマル"なんてない」と断言する。だからこそ、卑猥と見なされる表現も臆せず口に出し、周囲の批判も笑い飛ばしてきた。生と性に向き合ってきた1人の女性の生きざまは、自分らしく生きるためのヒントに満ちている。

映画『おしえて!ドクター・ルース』
8月30日(金)新宿ピカデリー他、全国ロードショー

監督/ライアン・ホワイト
出演/ルース・K・ウエストハイマー
原題/ASK DR. Ruth
製作年/2019年
制作国/アメリカ
上映時間/100分
配給/ロングライド
公式サイト:longride.jp/drruth

あなたの健康百科編集部