2019年09月04日 公開

認知症では介護者の睡眠不足に注意

 認知症患者は世界に約5,000万人おり、2050年までに1億3,100万人に増えるともいわれている。子供や配偶者などが介護に当たるケースも多く、北米では1,600万人が家族を介護しているとのデータもあり、介護者の負担が懸念されている。米・Baylor UniversityのChenlu Gao氏らは、認知症介護者の睡眠時間が週に2.5~3.5時間程度不足し、睡眠の質も低下していると報告(JAMA Netw Open2019; 2: e199891)。患者を介護する家族のケアも必要であると提言した。

介護者の睡眠障害が認知症患者にも影響

 一般的に、ストレスは睡眠の量および質の低下と関連することが知られている。認知症患者の介護負担は大きく、介護者の多くは慢性的なストレスにさらされている。さらに、認知症患者は不眠により昼夜逆転生活をしたり、夜間に徘徊したりすることで、介護者の睡眠を中断することもある。短く質が悪い睡眠は、認知機能の低下と関連することも分かっており、介護者の睡眠障害は抑うつ状態になる、判断力が低下するといった事態につながると考えられ、患者の症状の変化に気付かない、薬を飲ませるのを忘れるなどマイナスの影響が出る。

 日光浴や運動が介護者の睡眠の質を改善

 そこで、Gao氏らは認知症や介護などに関連する35件の論文を分析。すると、同年代で家族の介護をしていないグループ(696人)と比べて、介護をしているグループ(3,268人、平均年齢63.48歳、女性76.7%)では睡眠時間が週に2.42~3.50時間短く、睡眠の質も明らかに低かった。

 その一方で、睡眠に関するケアを受けた介護者は、受けていない介護者に比べて睡眠の質が改善していたことも分かった。朝の日光をよく浴びる、規則正しい就寝時間を心がけ就寝時にはリラックスする、日中に運動をするといったシンプルな行動を取るだけで、改善が見られたという。

 質の悪い睡眠は、長期的かつ潜在的に健康に悪影響を与え続ける。同氏らは「世界中で認知症患者が増加し、家族が介護を行う必要性は増すことから、医師らは認知症患者だけでなく、介護する家族の睡眠のケアについても考慮すべきだ」と述べている。

あなたの健康百科編集部