2019年09月09日 公開

妊娠中の食事が子の「行動上の問題」に関連

 妊娠中の女性はホルモンバランスの変化や胎盤の機能を維持するために、活性酸素の産生が高まる。活性酸素は細菌やウイルスを攻撃する免疫機能において重要な役割を果たす一方、細胞を酸化させて老化や生活習慣病、がんなどの原因となる。抗酸化物質(ビタミンCなど)を摂取することで、母子に対する過度な酸化ストレスやそれに起因する健康問題を抑制できる可能性があるが、これまでに妊娠中の野菜や果物、抗酸化物質の摂取と生まれた子の「行動上の問題」との関連についての研究はなかった。今回、愛媛大学が主導する共同研究チームにより、妊娠中の野菜、果物(特にリンゴと柑橘類)、ビタミンCの摂取が生まれた子の行動上の問題を抑制する可能性があることが始めて明らかにされた。研究成果の詳細は科学誌Nutrition2019年8月24日オンライン版)に報告されている。

野菜、果物、ビタミンCの摂取で行動上の問題を予防

 研究は妊娠中の母親と生まれた子供を追跡調査した「九州・沖縄母子保健研究」に参加した1,199組の母子を対象に行われた。母親の妊娠中の食事内容は「食事歴法質問調査票」という質問票により調査し、子供の行動上の問題については5歳の時点で「子どもの強さと困難さアンケート(SDQ)」を実施して調べた。

 SDQは欧州諸国で広く用いられており、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、行為障害などの測定について、その信頼性が高く評価されている。総合評価の他に①抑うつや不安などの「情緒」②反抗や反社会的行動などの「行為」③集中力の欠如や多動性などの「多動・不注意」④周囲からの孤立や不人気などの「仲間関係」⑤協調性や共感性などの「向社会性」−という5つの項目について評価することができる。

 検討の結果、子供の情緒問題は12.9%、行為問題は19.4%、多動・不注意問題は13.1%、仲間関係問題は8.6%、低い向社会的行動は29.2%に認められた。母親が妊娠中に摂取した野菜や果物、抗酸化物質の摂取との関連については、以下の通り統計学的に有意な差が認められた。

・総野菜摂取と緑黄色野菜の摂取は低い向社会的行動のリスク低下と関連していた
・緑黄色野菜以外の野菜の摂取は多動問題と低い向社会的行動のリスク低下と関連していた
・果物、特にリンゴの摂取は多動問題のリスク低下と関連していた
・柑橘類の摂取は情緒問題、行為問題、多動問題のリスク低下と関連していた
・ビタミンCの摂取は行為問題、多動問題、低い向社会的行動のリスク低下と関連していた

 研究グループは「今後、さらなる研究データの蓄積が必要だが、妊娠中の食習慣を変えることにより、生まれてくる子供の行動上の問題を予防できる可能性が示された」と結論している。

(あなたの健康百科編集部)