2019年09月11日 公開

対人関係の問題と寝酒、睡眠への影響は?

 ストレスに満ちた現代社会。誰でも何かしらのストレスを抱えている。特に仕事を持つ人にとって人間関係のストレスは深刻。眠れない夜を過ごした経験のある人も多いだろう。また良くないと分かっていながら、ついアルコールの力を借りることもあるかもしれない。確かに、日本では「寝酒」という言葉がある。しかし、お酒を飲んで得た睡眠の"質"は良いのだろうか。さらに、対人関係の問題に寝酒が加わると睡眠はどのような影響を受けるのだろうか。日本大学医学部公衆衛生学分野の松本悠貴氏(助教)と久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚教授らは、これらの疑問の答えを得るべくアンケートを実施し、結果を日本睡眠学会第44回定期学術集会(2019年6月27、28日)で発表した。ここではその興味深い講演内容を紹介する。

寝酒で「量」低下、対人関係で「質+量」低下、両方あると「リズム」の乱れ

 松本氏らがアンケートの対象としたのは、製造業務を主とする事業所の男性日勤者336人。アンケート用紙を配布し、280人から回答を得た(平均年齢42.5歳、有効回答率83.3%)。寝酒に関する質問「寝酒(寝るためのお酒)はしていますか」に対し、選択肢は「1.していない:寝酒(-)、2.している:寝酒(+)」、対人関係に関する質問「この1年で対人関係の問題はありましたか」に対し、選択肢は「1.特になかった:対人関係の問題(-)、2.あった:対人関係の問題(-)」で回答してもらった。

 回答者の睡眠習慣は"3次元型睡眠尺度(3DSS)―日勤者版―"を用いて点数を付けた。これは、同氏が内村教授らと共同で2014年に開発した睡眠習慣チェック法。15項目の質問に答えるだけで、誰でも簡単に①位相(リズム、朝型・夜型の度合いや規則正しさ)、②質(寝付きの良さや途中での目覚めなど)、③量(十分な睡眠量が確保されているか)」―の3点から自分の睡眠状態を知ることができる。

 調査の結果、寝酒は睡眠の量を低下させることが分かった。つまり、寝酒をすると一時的に寝付きは良くなるが、睡眠に満足感が得られなかったり、日中に眠気を催す可能性が高くなってしまうのだ。一方、対人関係の問題は睡眠量の減少に加えて質も低下させることが分かった。さらに、両方が同時に存在すると、睡眠リズムの乱れや夜型化が相乗的に起こりやすくなることが明らかとなった。

 やはり、仕事や人間関係のストレスはできるだけためないようにし、たまったらお酒以外で発散させることが大事なようだ。酒は「百薬の長」と言われるが、「万病の元」としないためにも不適切な寝酒は控えたいものだ。

睡眠についての詳細は情報サイト"目覚め方改革プロジェクト"を参照。同サイトは、内村氏が総監修を務めており、睡眠に関するさまざまな情報はもとより、ここで紹介した"3次元型睡眠尺度(3DSS)―日勤者版―"も用意されており、自分の睡眠習慣を簡単にチェックできる。

(あなたの健康百科編集部)