2019年09月17日 公開

過剰な体脂肪でうつリスクが上昇

 過剰な体脂肪の蓄積によりうつの発症リスクが上昇するという研究結果を、デンマーク・オーフス大学情動障害学分野教授のSøren D. Østergaard氏らが報告した。体脂肪の蓄積だけでなく低い身長も、うつ発症の危険因子であることが分かったという。過去の研究から、「肥満指数(BMI)が高いこと」と「うつ」には因果関係があることは示されていたが、今回、その関係の決め手となっているのは「体脂肪量」であることが明らかにされた。詳細は医学雑誌Translational Psychiatry2019; 9: 184)に掲載されている。

脂肪以外の体組成の量はうつと無関係

 肥満は体脂肪が過剰に蓄積した状態であり、心臓病や2型糖尿病などの危険因子として知られている。さらに、肥満とうつが関連することを示した研究結果も多数報告されている。近年、メンデルランダム化(MR)という手法で行われた複数の観察研究から、「BMIが高値であることとうつ」は因果関係にあるものの、その逆の「うつであることとBMI高値」には因果関係がないことが示されている。

※本来、対象者を観察するだけで因果関係の証明はできない観察研究のデータを使って、因果関係の考察を可能にする手法

 BMIは体重(kg)÷ 身長(m)2で算出し、肥満の程度を評価する一般的な尺度として普及している半面、体を構成している脂肪量と脂肪以外の体組成(筋肉、骨など)の量は区別できないという欠点がある。つまり、BMIでは高体重が脂肪量によって生じているのか、脂肪以外の体組成の量によるものなのかが判定できないのだ。

 そこでØstergaard氏らは、BMIに加え、BMIの各構成要素(体重、身長、体脂肪率、体脂肪量、体脂肪以外の体組成量)とうつとの関連を調べる目的で、MRの手法を用いて2つの大規模な遺伝情報データベースのデータを解析した

 その結果、過去の観察研究と同様に、BMI高値はうつの危険因子であることが判明。一方で、うつの存在がBMIを上昇させるという明らかな証拠は見いだされなかった。注目すべきは、体脂肪量はうつの危険因子だが、体脂肪以外の体組成量はそうではなかった点である。これは、BMI高値がうつのリスクを高める決め手は、体脂肪量にあることを意味している。過剰な体脂肪が10kg増えるごとに、うつを発症するリスクは17%上昇するという推定値も得られた。さらに、体脂肪量だけでなく低い身長も、うつの危険因子であることが分かった。

 同氏らは「本研究において、BMIとうつの因果関係は、体脂肪以外の体組成量にかかわらず、体脂肪量と低身長によって引き起こされることが明らかになった。この知見は、体脂肪量を減らすことがうつの発症リスクを低下させる可能性を示している」と述べている

(あなたの健康百科編集部)