2019年09月18日 公開

朗報! 高齢出産児には問題行動が少ない

 高齢の母親から生まれた子供(高齢出産児)では、身体的あるいは精神的な健康を損なうリスクが高まることはよく知られている。しかし、学童期の大きな悩みの種となる「問題行動」については、若年の母親から生まれた子供(若年出産児)と比べて高齢出産児で少ない点が、オランダの分析研究から明らかになった。Child Development 誌に掲載されたユトレヒト大学の研究グループの報告を紹介する。

3万例超のデータを解析

 近年、世界の先進国では出産年齢の高齢化が進んでいる。欧州や北米、オセアニアや極東の各国で構成される経済協力開発機構(OECD)の加盟国では1995年以降、初産年齢が上昇傾向を示し、2017年には大半の加盟国で平均初産年齢が30歳を超えたという。

 そして、高齢出産児は、身体面または精神面に問題が生じる例が少なくない点が指摘されている。例えば、母親の出産年齢上昇は、出生児のBMI(体格指数)や血圧などの上昇、自閉症や双極性障害、抑うつ、不安などと関連するとの報告がある。一方、父親年齢の高さは、死産や低体重児、早産、知的障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、統合失調症などの危険性を高めることと関連するとの研究が発表されている

 こうした点から研究グループは、10~12歳の子供における問題行動と出生時の親の年齢について検討を行った。対象としたのは、オランダで行われた4件の住民を対象とした観察研究(①Generation R②Netherlands Twin Register③Research on Adolescent Development and Relationships-Young Cohort④Tracking Adolescents' Individual Lives Survey)に参加した計3万2,892例。全例が1980年以降に生まれていた。

 問題行動は、Achenbachの分類に基づいて内在化(internalizing)問題行動と、外在化(externalizing)問題行動に分けられた。内在化問題行動とは、不安や抑うつ、恐怖や身体症状、引きこもりなどのこと。外在化問題行動とは、言うことを聞かない、攻撃性、非行、かんしゃく、多動性などを指す。これらの問題行動は、両親、教師、本人による質問票で評価した

 各研究の対象となった子供の父親と母親の年齢は、それぞれ①が16~46歳と17~68歳、②が17~47歳と18~63歳、③が17~48歳と20~52歳、④が16~44歳と18~52歳だった。これら4件の研究データを、ベイズ法という分析手法によって統合解析したのである。

親年齢の上昇は外在化問題行動を減少させる

 分析の結果、出生時の親年齢の上昇と10〜12歳時の外在化問題行動の減少の間には明らかな関係が認められた。親の年齢が高いと、家庭の社会経済的状況が好転し、子供にも好ましい影響が及ぶことは想像に難くないが、その要素を調整しても、高齢出産児では親または教師が評価した外在化問題行動が少なかった。

 これに対し、内在化問題行動に関しては、両親の年齢との間に有意な関連は見られなかった。

 以上の結果から、「出生時に両親の年齢が高いことは、子供の問題行動に全く悪影響を及ぼさない」と、研究グループは結論した。ただし、「今回の研究では、子供の内在化問題行動と外在化問題行動についてのみ検討したため、他の行動についてもこの結果が当てはまるか否かは不明だ」としている。

 高齢になって子供を持った親は、経済的に余裕があるだけでなく、教育レベルが高い可能性もあり、こうした要素は子供の問題行動を減らす方向に働くと考えられる。研究グループは「親の教育レベルの高さだけで、今回示された外在化問題行動の減少は説明できなかった」と述べている。

(あなたの健康百科編集部)