2019年10月02日 公開

高齢者の貧血は認知症のリスクに

 たとえ軽度でも貧血がある高齢者では、貧血がない高齢者に比べて認知症を発症するリスクが上昇し、アルツハイマー病のリスクは41%高くなることが、オランダ・Erasmus Medical CenterのM. Arfan Ikram氏の研究で明らかになった。研究結果はNeurology(2019; 93: e917-e926)に報告された。

 Ikram氏らは、認知症を発症していない1万2,305人(平均年齢64.6歳)を対象に、血中のヘモグロビン濃度および貧血が認知症発症に及ぼす影響について調べた。
 平均12.1年の追跡期間中に1,520人が認知症を発症した。このうち1,194人はアルツハイマー病だった。また、貧血の有病率は6.1%であった。

 解析の結果、貧血がある人は、ない人と比べて、アルツハイマー病では41%のリスク上昇が見られ、アルツハイマー病を含む全ての認知症の発症リスクは34%高かった。また、ヘモグロビン濃度が高過ぎても低過ぎても、認知症の発症リスクは上昇することも分かった。

 今回の研究結果を受け、Ikram氏は「65歳以上の高齢者における貧血の有病率は、欧米諸国では約10%、アフリカや東南アジア諸国では最大で45%と推定されている」と説明。その上で、認知症の有病率は世界各国で大幅な上昇が予測されていることから、「これらの知見は、認知症による社会的負担を考えると示唆に富むものだ」とコメントしている。

 ただ、ヘモグロビン濃度が認知症の発症リスクに影響を及ぼす原因については不明だという。「ヘモグロビン濃度が認知症リスクに直接的な影響を及ぼしているのか、あるいは血管や代謝機能における変化といった別の問題が関与しているのかを明らかにするため、さらなる研究が必要である」との見解を示している。

 また、今回の研究は欧州系の人々を主な対象としているため、全ての人種・民族にこの結果が当てはまるか否かについても不明としている。

(あなたの健康百科編集部)