2019年10月07日 公開

菜食の意外な落とし穴!?

肉・魚食より高い脳卒中リスク

 健康的なイメージで人気のある菜食主義。だが、肉食や魚食に比べて、脳卒中リスクが高いことなどが、英・Oxford UniversityのTammy YN. Tong氏らによる大規模かつ長期的な研究で明らかになった(BMJ 2019; 366: l4897)。

成人男女約4.8万人を3グループに分け18年以上調査

 Tong氏らによると、近年の英国では約1,700万人の菜食主義者(ベジタリアン:最も厳格なヴィーガンを含む)が存在するとされる一方、ベジタリアンには肉食や魚食などベジタリアンでない人たちとは異なる健康リスクを示すデータもあるという。

 そこで同氏らは、1993〜2001年に募集した同国の20歳以上の成人男女4万8,188人を対象に、肉食グループ2万4,428人(魚や乳製品の摂取は問わない)、魚食グループ7,506人(肉は食べない)、菜食グループ1万6,254人(肉・魚は食べないが、乳製品を摂取するベジタリアンと摂取しないヴィーガンを含む)の3つのグループに分け、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)および脳卒中の発症を18年以上にわたり追跡調査した。なお、食生活の他、生活習慣や病歴、学歴、喫煙状況、運動習慣、サプリメントの摂取などに関するデータも収集した。

菜食グループでは脳出血が1.43倍に

 18年以上にわたり調査した結果、対象者全体で虚血性心疾患が2,820件、脳卒中は1,072件発症していた。肉食グループに対する魚食グループおよび菜食グループの虚血性心疾患、脳卒中それぞれの発症リスクについて解析したところ、虚血性心疾患は魚食グループで0.87倍(−13%)、菜食グループで0.78倍(−22%)のリスクの低下が確認された。ところが、高血中コレステロール値、高血圧、糖尿病、BMI(体格指数)などを調整して解析した結果、それぞれのリスクの減少は部分的に弱まった。

 さらに、脳出血(くも膜下出血や脳出血)については、肉食グループに対してリスクが魚食グループで1.12倍、菜食グループでは1.43倍になることが明らかになった。全ての脳卒中においても同様の結果が得られた(魚食グループ1.14倍、菜食グループ1.20倍)。

 今回の結果について別の見方をすると、人口1,000人当たりの10年超にわたる虚血性心疾患の発症リスクは、肉食グループに比べ菜食グループで10件程度少ないことに相当する。しかし、脳卒中リスクについては菜食グループで3件ほど多いことに相当するとTong氏らは説明。「肉食グループに比べ、魚食グループと菜食グループでは虚血性心疾患リスクは低いものの、脳出血および脳卒中の発症リスクは菜食グループで高いことが分かった」と結論付けた上で、「今後は血中コレステロール値や脂肪酸値など、どの因子が発症リスクと関連するかについての検討が必要」との見解を示している。

あなたの健康百科編集部