2019年10月11日 公開

内臓脂肪が多い人は頻尿に注意!

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 これまで、内臓脂肪や大腰筋(股関節にある内部筋肉)の量と下部尿路症状(LUTS:尿をためたり、排出することがスムーズにできない症状)の有無やその重症度との関係を明らかにした研究はない。長崎大学病院泌尿器科・腎移植外科の大坪亜紗斗氏は、同院で腹部CT検査を行った女性を対象に内臓脂肪や大腰筋の量とLUTSとの関係を検討。内臓脂肪が蓄積することが過活動膀胱(OAB)の症状〔日中・夜間の頻尿、急に我慢できない尿意をもよおす(尿意切迫感)、尿を漏らしてしまう(尿失禁)など〕と、大腰筋量の低下は尿の出が悪くなること(尿勢低下)と関連していたと第26回日本排尿機能学会(9月12〜14日)で報告した。

OABの人は内臓脂肪が多く、大腰筋は少ない

  日本人ではBMI(体格指数)とLUTSとの関連性は低いとされ(Urology 2012; 79: 1372-1378)、皮下脂肪よりも内臓脂肪がLUTSと関連しており(Matsuo T et al. JJCS, 2019)、大腰筋の筋力低下をはじめとしたフレイル状態では、LUTSが出現する可能性が高いこと(Geriatric & Gerontology International 2017; 17: 1568-1574)が報告されている。しかし、これまで内臓脂肪と大腰筋を詳しく測定し、LUTSとの関連性を調べた研究はなかったことから、大坪氏らはそれらの関係について検討を行った。

 対象は3カ月以内に検診などで腹部CT検査を行い、かつLUTSと診断されていない未治療の女性182人(平均年齢57.7±15.3歳)。自覚症状は主要下部尿路症状スコア(CLSS)および過活動膀胱症状質問票(OABSS)で評価し、他覚所見は尿流量測定検査で評価した。CT所見を基に三次元画像解析システムを用いて算出した内臓脂肪量および大腰筋量と、LUTSとの関連を検討した。

 OABグループ(71人)と非OABグループ(111人)に分け、自覚症状とCT所見の関連および他覚所見とCT所見の関連を比較検討した。患者の背景は、OABグループで年齢が高く、高血圧、脂質異常症、腎機能障害を合併する人が有意に多かったものの、BMIには差がなかった。

 CT所見の比較では、OABグループは内臓脂肪面積、内臓脂肪体積、内臓脂肪と腹部全体の脂肪の体積比が有意に大きく、大腰筋面積、大腰筋体積は有意に小さかった。

 自覚症状とCT所見の関連を見ると、内臓脂肪と腹部全体脂肪の体積比が最も強く相関していた。尿意切迫感および腹圧排尿のリスクは、内臓脂肪と腹部全体の脂肪の体積比が大きい人ほど高く、大腰筋体積が小さい人ほど高かった。腹圧性尿失禁のリスクも大腰筋量が小さい人ほど高かった。

食事療法や運動療法でOAB症状、尿勢の改善に期待

 OABの有無と尿勢低下について解析したところ、①年齢②内臓脂肪と腹部全体脂肪の体積比−がOABの有無と関連しており、大腰筋体積が小さいことは尿勢低下と関していた。

 以上の結果から、大坪氏は「内臓脂肪量の蓄積がOAB症状の増悪と、大腰筋量の低下は尿勢低下と関連することが示された。食事療法や運動療法により内臓脂肪の減少、大腰筋量の増加が期待され、OAB症状および尿勢が改善される可能性がある」と結論した。

(あなたの健康百科編集部)

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