2019年10月15日 公開

がん遺伝子パネル検査後の治療を後押し

 今年(2019年)6月、わが国で初めて2種類の「がん遺伝子パネル検査」が保険診療で行えるようになった。がんゲノムプロファイリング検査ともいわれる同検査は、最新の技術により複数のがん関連遺伝子を一度に調べることができるのが特徴。しかし、たとえ治療の候補となる遺伝子異常が見つかっても、国内で承認された治療薬が少ないことなどが課題として挙げられている。国立がん研究センターは10月2日、そのような治療選択肢がない患者に対して、「患者申出療養制度」の下で国内で承認されたがん種とは異なるがん種に対して治療薬を使用し、有効性を検討する多施設共同研究を行うと発表した。

適応外薬は原則自己負担、診療費は保険診療に

  患者申出療養制度とは、国内で保険適応がない先進医療について、"患者の申し出"により、医師や関連病院などが連携して臨床研究を立案し、患者が希望する治療法を臨床研究として実施する制度である。国内で未承認・適応外のさまざまな治療法が対象になるが、「保険収載を前提とするものに限る」と規定されている。

 同制度では、保険診療と保険外診療の併用が認められる。そのため、未承認薬の費用などは原則患者の自己負担となるものの、入院料や検査料などの診療費が保険診療となるので、自己負担額が軽減されることになる。

医薬品の無償提供も

 今回、この制度の下で実施される多施設共同研究は、国立がん研究センター中央病院が調整事務局となり、がんゲノム医療中核拠点病院11施設が参加する。対象は、①年齢が16歳以上②条件を満たさないなどの理由により、他の治験や先進医療に参加できない③これまでに遺伝子パネル検査を受けて、専門家会議(エキスパートパネル)および担当医からなんらかの適応外薬使用が推奨されている④遺伝子パネル検査の情報を含む患者の情報をがんゲノム情報管理センター(C-CAT)に登録すること、およびこの研究で得られたデータをC-CATに登録することに同意し、その情報をこの研究や当該医薬品を無償提供した製薬企業への提供に同意している―ことの基準を満たす患者である。

 今回の研究では、患者の申し出に基づき適応外使用の可否が検討される。実施可となった場合は、適応外薬の費用と適正に研究を行うための費用(患者データや薬を適切に管理するためのシステムや人件費:約40万円)は原則患者負担となるが、その他の検査や治療などは保険診療として行うことができる。

 さらに、企業から申し出があった場合は、医薬品の無償提供も行われる。現時点ではノバルティスファーマ社から無償提供を受けた医薬品のみを対象として実施予定であるという。同センターは「今後、さらに多くの企業の協力が得られるよう働きかけていく」としている。

(あなたの健康百科編集部)

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