2019年10月17日 公開

労基署は一斉点検を~無給医問題~

 大学病院で診療を行っているにもかかわらず、賃金が支払われない医師(無給医)の存在が社会問題化している。このような情勢を受け、勤務医の全国的な労働組合である全国医師ユニオンでは今秋、以下のような取り組みを予定している。

 まず、9月に開始した無給医実態調査のアンケート実施期間(当初は9月末まで)を11月末まで延長する。この調査は、医師と歯科医師で現在無給医となっている人を対象としたもの。結果は回答者を匿名化した上で公開する。無給医の労働実態を把握し、メディアなどを通じて社会に働きかけることを目的とする。また10月19日(土)には、「無給医問題シンポジウム~医師・歯科医師の働き方を考える」を開催する(14~17時、中央大学駿河台記念館610号室)。

 アンケートで得られた結果やシンポジウムでの発言などを集約した後、具体的な問題の解決策を探り、文部科学省、厚生労働省などに対して無給医の根絶を求めていく。さらに、無給医アンケートを通じたクラウドファンディングを実施し、医療労働研究会のシンポジウムを開催する予定。医師過労死裁判についての報告や今後の課題などについても討議するという。

最悪の労基法違反

 同ユニオンでは、既に7月13日付で無給医問題に関する要請文を厚労省に送付している。要請では「無給医は最悪の労基法違反であり、組織的な犯罪だ」と批判した上で、労働基準監督署による大学病院の一斉点検と結果の公表を求めた。一斉点検では、雇用契約の有無、労働時間の一部しか賃金が支払われていない医師の把握の他、放射線被曝を伴う診療に従事する医師に対する放射線管理の徹底も挙げている。悪質な管理者に対しては、司法警察権限の行使も求めている。

 また、「文科省の調査は、労基法の違反者に対しどの程度違反しているか聞いているようなもの。大学病院の言い分をうのみにしている」として、労基署による点検の必要性をあらためて強調した

無給医:大学病院で診療を行っているにもかかわらず、賃金が支払われていない医師。日本では6年制の大学医学部を卒業し、国家試験に合格後、義務付けられた2年間の初期臨床研修(研修医)を経て、医師として働き始める。その後も、研修に従事する後期研修医や専攻医、大学院進学者も少なくない。大学病院はこうした大学院生らに診療を行わせ、自己研鑽や研修を理由に、賃金を支払わない慣習を続けてきた。

(あなたの健康百科編集部)

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