2019年11月01日 公開

補聴器が認知症やうつ、転倒のリスクを減らす

 難聴の人は認知症やうつになりやすく、筋力や日常生活の活動性なども低下しやすいことが指摘されている。米・University of Michigan Medical SchoolのElham Mahmoudi氏らは、難聴と診断された66歳以上の高齢者を対象に研究を実施。補聴器を使用するとアルツハイマー病、認知症、不安、抑うつ状態になったり、転倒してけがをしたりするまでの期間を遅らせることができると、J Am Geriatr Soc2019年9月4日オンライン版)に発表した。

過去3年以内に難聴と診断された高齢者約11万人分のデータを調査

 Mahmoudi氏らは、2008~16年の米国における診療報酬請求データから、過去3年以内に難聴と診断された66歳以上の高齢者11万4,862人をピックアップ。補聴器の使用者と非使用者に分け、補聴器の使用と過去3年以内にアルツハイマー病、認知症、不安、抑うつと診断されたり、転倒してけがをしたりするまでの期間との関連性を分析した。

 その結果、補聴器の使用者では、非使用者に比べて難聴の診断後3年以内にアルツハイマー病、認知症と診断されるリスクが18%、不安、抑うつリスクは11%、転倒によるけがリスクは13%減少していた。

 これらの結果から、難聴の高齢者における補聴器の使用はアルツハイマー病や認知症、不安、抑うつの発症、および転倒による外傷発生までの期間を延長することが示された。

患者負担や保険制度にとって重要な問題

 Mahmoudi氏は「アルツハイマー病、認知症、不安、抑うつや転倒といった心身に生じる病気やけがによる負担は、患者および高齢者を対象とした公的医療保険制度にとって重要な問題である。補聴器の使用とこれらのリスクとの関連性を明確化するには、さらなる検討が必要である」と述べている。

(あなたの健康百科編集部)