2020年01月17日 公開

不定愁訴治療の鍵は首の筋肉の緊張緩和

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 原因不明の体調不良である「不定愁訴」の多くが、首の筋肉の緊張を緩和させることで治癒することが分かった。東京脳神経センター(松井孝嘉理事長)の研究グループがEur Spine J2020年1月14日オンライン版)に臨床研究の成果を発表した。

不定愁訴患者の多くが首の疾患や凝りを合併

 不定愁訴とは、動悸、発汗、頭重、不眠、胃腸障害、慢性疲労など全身の多岐にわたる自覚症状があるものの、原因となる病気が見つからない病態を指す。多くの患者が有効な治療を受けられないまま、長期にわたって苦しんでいるのが現状だという。

 東京脳神経センターは松井病院(香川県)と共同で、不定愁訴の解明を目指して研究を行ってきたが、全身の不定愁訴に悩む患者の多くが首の疾患や凝りを合併していることに注目。首の筋肉の緊張を緩和することが不定愁訴の有効な治療になるのではと考え、臨床研究を行った。

不定愁訴数が大幅に減少、8%の患者ではゼロに

 研究グループは、首と肩以外に2つ以上の症状を訴えて受診した首の疾患の患者のうち、通常の外来治療では治癒せず入院した1,863人(男性698人、女性1,165人、平均年齢47.6歳)を対象として、首に対する低周波電気刺激と遠赤外線照射を1日に2~3回行った。この治療により、首の緊張が改善することが既に実証されている。

 平均入院期間は92.2日だった。全患者の平均不定愁訴数は、入院時には17.8だったが、退院時には7.4に減少した。10以上の不定愁訴を持つ患者の割合は、入院時には91.1%に上ったが、退院時には29.3%まで減少した。8.2%の患者は退院時には不定愁訴数がゼロになった。

 不定愁訴の症状別に見ると、入院時に患者が訴えた28種類の症状全てが50%以上の患者で改善していた。

副交感神経が鍵

 研究グループは、今回の臨床研究で示された不定愁訴の治療効果について、首の筋肉に対する直接的な作用に加え、首の筋肉の緊張を緩和したことに伴う全身への間接的な作用も影響していると考えている。首の筋肉の間を通って全身に分布する副交感神経が鍵を握っているという。

 ただし、今回の研究で行った平均90日以上に及ぶ入院治療は、多くの患者に実施し難いため、研究グループは外来治療でも可能な筋弛緩薬による治療も検討したいとしている。また、副交感神経の関与が明らかになれば、副交感神経を標的とする薬剤による治療も有効かもしれないと展望している。

(あなたの健康百科編集部)