2020年02月05日 公開

英国で"健康格差"が拡大

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 英国では、20世紀半ばから最貧困層の健康状態が低下傾向にあり、100年前と比べ悪化していることが分かった。英国で1920~70年に生まれた生産年齢人口20万人以上を対象に健康と収入のデータを比較した研究によると、最貧困家庭では1920~22年に生まれた人より1968~70年に生まれた人の方が健康状態(自己申告に基づく)が悪化していた。とりわけ1970年代以降、富裕層と貧困層の健康格差は拡大の一途をたどっている。なんらかの対策が打たれない限り、格差がさらに広がる可能性があるという。英・University College London疫学・公衆衛生学准教授のStephen Jivraj氏が、Journal of Epidemiology and Community Health2020年1月20日オンライン版)に発表した。

経済的収入が健康の不平等に強く関係

 Jivraj氏は、将来のヘルスケアの必要性を予測するため、1945年以降に生まれた『ベビーブーム世代』と1920年代初期に生まれた人で収入の違いが健康状態に及ぼす影響を比較検討した。

 その結果、社会的・経済的な地位と健康状態が関連すること、富裕層と最貧困層の格差が1970年代以降拡大していることが示された。

 特に注目されるのは、30~59歳の富裕層と最貧困層において、自己申告に基づく長期間健康を害する病気にかかっている人の割合(有病率)の差である。有病率の不均衡を性別で見ると、1920~22年に生まれた人に対し、1968~70年に生まれた人は女性で倍増、男性で1.5倍に増加していた。

 例えば、1920~22年に健康を害する病気にかかっていた男性の割合は、最貧困家庭に生まれた人で約26%、富裕な家庭では16%であった。1968~70年に生まれた人では、それぞれ35%、11%だった。

 また、1920~22年に生まれた女性では、最貧困家庭の約15%が 『(健康状態が)良好でない』とされたのに対し、富裕層では8%にすぎなかった。一方、1968~70年に生まれた女性では、それぞれ19%、10%であった 

 「われわれの研究からは、富裕層と最貧困層で健康格差がいっそう拡大し、公共医療サービスへの負荷が増大している。今後は、たとえ自らの健康に気を配る余裕があっても高齢者の増加によるさらなる負荷が予想される」と同氏は述べている。また、「これらの結果は、収入の差による健康格差の拡大を示しており、問題を解決するための共同した行動がなされなければ、富裕層と最貧困層の格差はさらに広がるだろう」と警鐘を鳴らしている。

(あなたの健康百科編集部)